養生訓 巻第五 五官 鳳凰堂流解釈⑤
原文を現代文に改変
常に居る室も常に用ゆる器も、かざりなく質朴にしてけがれなく、いさぎよかるべし。
居室は風寒を防ぎ身を置くに安からしむべし。
器は用をかなえて、事かけざれば事足りぬ。華美を好めばくせとなり、おごりむさぼりの心おこりて、心を苦しめ、事多くなる。
養生の道に害あり。
座する處、臥す處、少しも隙間あらば塞ぐべし。
隙間の風と、吹き通す風は、人のはだえに通りやすくして病起こる。恐るべし。
夜がして耳邊に風の來たる穴あらば塞ぐべし。
鳳凰堂流意訳
いつもいる部屋もいつも使う食器も、飾り気が少なく、質素、朴訥な雰囲気で、汚くなく清潔にしておくべきである。
部屋は風や寒さを防ぎ、身を置く事に安心、安全であるのが良い。
器は用いる用途に適い、不足する事がなければ充分である。
華やかさや美しさを求め出すと、切りが無くなり、驕り昂ぶり、貪り、心が傲慢となって、結果的には自分の心を苦しめる事が多くなる。
養生の道を害するものがある。
坐る場所、寝る場所で少しでも隙間があれば塞いでおくべきである。
隙間風や吹き通る風は肌に染み込みやすく病が起こりやすい。その為、この点はいつも気にかけておくべきである。
夜になって耳のそばで風の吹く音がし、風穴があれば塞ぐべきである。
鳳凰堂流解釈
部屋と食器は五官を刺激し過ぎない、また
清潔過ぎるとそれが過度になりがちで汚いとばい菌が身体を病ませる為、バランスの良さが求められます。
寝る際には風に注意する事、冷え込みだけでなく音でも連想させたり、肌を刺激してしまう事は現代科学よりも包括的に俯瞰して観ている貝原益軒の知恵、知識、思慮の深さ、感性の鋭さが現れています。
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