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医心方 巻二十七 養生篇 臥起第七 鳳凰堂流解釈

  行住坐臥という言葉があるように、本来行止と臥起は文自体も少ないことから纏めても良いと思います。

敢えて分けたのは行止は動、臥起は静動の終始と考えての事でしょうか。この辺りの考えの深さは未だ分かっていません。

 寝相は悪い方が、日中の歪みを矯正するとも言われています。素体(その人が元々持っている身体の状態、性質)の虚実によるものもありますので、どちらとも言い難いと思うのですが、本質的には養生要集の言う事が正しいと考えています。

養生要集からの引用

「内解には次のように書かれている。寝るときは真っ直ぐに四肢を伸ばし、自然に安らげる状態が良い。横向きに寝たり、うつ伏せや身体を曲げたり、傾けたりしないこと。五臓を常に考えていれば、神と形(内外)をはっきりとしておく必要がある。

寝たいときには、人定の時(20時〜21時、戌刻)が良く、亥刻(21時〜23時)は入るのは良くない。

この時は、天地人万物が皆一旦眠り、死ぬ時で、霊魂の世界に通じる。

人が皆死んでいるのに自分だけ生きているのである。それを過ぎて寝るのであれば夜中、子刻(23時〜01時)に入ってからの方が良い。この時間には天地人の万物は全て眠り、寝るまでが1つの生々流転の流れである。

気が生まれ出てくると、人と同じように寝たり呼吸したりするのではなく、四時八節に随って春夏は鶏鳴時に、秋冬は遅く必ず日光を浴び、逆にしてはならない。身体を損なう」

鳳凰堂流解釈
子午流注と言う考え方を一日に応用し、24時間を十二時辰として十二支に当てはめて時間を表現しています。

寝相に関しては、上記の方法が馴染まないなら、気づかない内に心身に負担をかけている可能性があり、それを解消するために特定の姿勢で寝たがる傾向があります。

千金方からの引用

「春は暗くなったら寝て、早く起きるようにするべきである。夏や秋には昼寝をし、夜になったら床に着き、早く起きるようにすべきである。冬は早く寝て、遅く起きることを心掛けるべきである。こうすることが、身体の為になる。早く起きると言っても、鶏鳴前に起きるのではない。遅く起きると言っても日の出後に起きるのではない」

又云う
「寝る場合は春と夏は東を向き、秋と冬は西を向く。これが一定の法則である。」


又云う
「日が暮れてから寝るときは、いつも習慣として口を閉じる事。口を開けば気が体内から失われ、又邪悪なものが口から入ってくる。」

又云う
「膝を屈めて横向きに寝ると、気力が増して但しく寝るのに勝る」

又云う
「眠る時に縮まっても構わず、伸ばしていても気にしないようにすること。伸び伸び寝ると、鬼や物の怪、邪悪なものに夢で襲われやすいので、これを避ける為に目覚めたら身体を伸ばすこと」

又云う
「一人前の男性は、頭を北枕にして寝てはいけない。寝る場合は、天井の梁のしたにいてはいけない。寝てしまってから灯りをつけっぱなしにしておいてはいけない。魂魄や六神が休まらず、愁いや恨みが多くなる。」

又云う
「歩く時は、鵞の王様のように足を運び、眠るときはライオンのように眠ること。(右脇を床につけ、膝を曲げる姿勢)」

又云う
「寝るときは先ず心を休めること。そうすれば寝る事ができる」

又云う
「人が寝るときは、一夜のうちに5回寝返りを打ち、いつも転がっていこうとする。」

又云う
「人は寝てしまってから口を開けてはいけない。長く続けていると糖尿となり、血色が悪くなる。」


又云う
「昼眠ってはいけない。人の気力が取られる。」

又云う
「夜寝るとき、頭を覆わないようにすると長寿を保つ。」

又云う
「夜寝てから耳の穴を吹いてはいけない。耳が聞こえなくなる。」

沈中方からの引用
「人がうなされたときには、灯りをつけて呼んではならない。必ず厭死するから暗闇で呼ぶ方が良い。又、近づいて急に呼んではいけない。(厭死とは夢で襲われて死ぬこと)」

又云う
「眠ってから、足を高いところにかけたり、高いところを踏んだりしてはいけない。その状態がしばらく続くと、腎水を患い、房事に支障を来たし、足が冷える。」

又云う
「夏に屋根の上で寝る場合は、顔をさらして寝ないようにしないといけない。顔の皮膚に癬を自分から作る事になる。別名面風と言う。」

又云う
「人の頭の近くに、「暖房器具を置いてはいけない。」毎日火気を受けていると、頭が重くなり、眼が充血し、その上鼻が乾く」

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