在宅医療におけるカルテ選び

こんにちは利確と申します!私は東京で在宅医療専門のクリニックの院長をしています。随時ドクター・看護師さん・事務さん募集中ですので、ぜひ転職をお考えの方はTwitterからお声かけください。

今回のお話は、在宅医療におけるカルテ選びについてです。病院の勤務医の先生や、現在外来クリニックをしているけど、在宅をやろうかなという方のお役に立てればと思います。私もカルテを導入する時はかなり迷いましたし、一度導入すると変更するのはとても大変ですので、十分に検討したいものです。

さて、在宅医療におけるカルテで検討が必要な項目は何でしょうか。各クリニックや先生で考え方が異なると思いますが

「クラウド型」「ユーザーフレンドリー」「大勢が使用している」「カルテ会社に事業継続性がある」「情報共有しやすい」ことは外せません。なぜこれらの項目が重要なのかを、ご説明したいと思います。


クラウド型カルテ

クラウド型とは、カルテの情報が一つのパソコン本体に入っているのではなく、院内にサーバーが必要ない状態です。インターネットアクセスさえあれば、自宅のパソコンなどどこからでもアクセスできます。

例えば紙カルテの場合、夜間にコールがあった場合一度クリニックにカルテを取りにいき、確認してから診療に行くことになります。とても手間ですし、院内サーバー管理しているカルテでも同様です。
つまりクラウド型は院内サーバー型(オンプレミス型)と異なり院外のどこでも使用可能です。加えて導入時は低コストであり、オンラインアップデートされるので常に最新式といったメリットがあります。

在宅医療では、昼夜を問わず稼働します。従ってカルテは「いつでも・どこでも・誰でも簡単に」見れるようにしないといけません。パソコンからはもちろん、スマホ、iPadなどでみれるようにするには、クラウド型が必須となります。

クラウド型カルテでは、基本的に端末を選びません。MacでもWindowsでも、ほとんどのスマホからアクセス可能です。院内サーバー型では、パソコンが業者指定になったりすることもあるので、コストが余計にかかることもあるので、導入時の金額も通常クラウド型が有利です。


「ユーザーフレンドリー・大勢が使用している」

次に検討する項目はカルテの利用画面がユーザーフレンドリーで、なるべくシェアを多くとり大勢が使用しているカルテを選ぶことです。

在宅医療をきちんとしようとすると、24時間オンコールとなり、医師一人だけでは限界が生じてきます。医師一人を雇うとそれに伴い、車が1台、スタッフが数人必要になります。つまり、在宅クリニックは通常の外来クリニックに比べて人数が多くなりやすいのです。なるべくユーザーフレンドリーなカルテを導入し、多くの人に使いやすいものを選びたいですね。

同時に転職してくる人にも使いやすいように、なるべくシェアが大きいものを導入すると雇用にも有利になります。「このカルテは前職で使っていました」という人は大変ありがたいですよね。「謎の個人作成カルテ」などは避けたいものです。


「カルテ会社に事業継続性がある

クリニックは一度走りはじめると、長く続きます。先にカルテ会社の方が倒れてしまうようでは困りますね。カルテ移行は大変ですよ〜。カルテを配給している母体はなるべく大きく、少なくとも数十年は安定していそうな大企業を選ぶようにしましょう。


「情報共有しやすい」

外来クリニックでは、一人の院長が患者さんの診察を院内で完結させることもできます。その場合カルテはちょっと特殊でもその院長が使いやすいものが良いでしょう。しかし、在宅医療では他の事業所との連携が必須です。カルテによっては、例えば診療情報提供書をカルテ画面から他事業所に直接FAXする機能もあります。「ケアマネに診療情報を提供する」ことが条件の居宅療養管理指導を算定するときに便利な機能にもなります。自分だけで使うのではなく、他事業所とも連携しやすいことはポイントになります。


さて、検討すべき項目が確認できましたね。ここからはどのカルテを選ぶべきかをご案内したいと思います。こちらにあげさせて頂くカルテ会社は、全て私が実際に仕事で使用したことがあるものです。「デモで少し触った」程度ではありません。評価には偏見があることで有名な私の主観がかなり入っていますので、導入の際にはご自身で最終確認をされてくださいね。検討カルテはこちらの3つです。

セコム(OWEL)・ホーミス・モバカル・(おまけでキリンカルテ)

結論からいえば、モバカルが一番おすすめです。もうカルテ選び疲れた!むきっー!とう方は、えいやっ!っとモバカルを選んでも全く後悔しないと思います。 とはいえ、それぞれ特徴がありますので、ご案内します。


セコム


セコムには、「ユビキタス」「OWEL」の2種類があります。
クリニックの地域・規模にもよりますが、個人クリニックが導入するなら「OWEL」で良いと思います。セコムは導入1◯◯万円(値下げで◯◯万程度)、ランコス月々◯万程度です。使用する職員IDが増えてもコストは一定です。これは他のカルテと違うメリットです。レセプトをセコムが代行することもできます(レセプト精度は人によってかなり差がありますが)

セコムのカルテ限定でスマイルさんがレセプト代行してくれることも可能です。
つまり、セコムはレセプトに強いです。カルテ自体にレセプト機能を内包しており、かつレセプト代行などもできます。


導入金額:△(金額はセコム公式サイトで公開していないので、ボカしています。これが大人の対応というものです。そう、私は大人なのです。△から御賢察ください。)
ランコス:◯
操作性:◎
特殊効果:セコムへレセプト外注できる eFAX(外注) レセプト会社と連携可能(基本的にオルカが推奨される)

スクリーンショット 2021-03-12 13.14.07



ホーミス

在宅業界最大手の悠翔会さんが作ったカルテです。操作性・使い勝手はやや△ですが、最大のメリットとして悠翔会さんに夜間オンコールをお願いできるかもしれません(地域などによります)。「使い勝手の悪さ」と「オンコール負担」の等価?交換です。在宅はやりたいけど、夜間オンコールはちょっと・・・という方におすすめのカルテです。
導入金額:X万円
ランコス:X万円
操作性:△
特殊効果:悠翔会さんに夜間休日オンコールを委託できる(有料・地域制限あり)
私はあまりhomisをうまく操作することができませんでしたが、「homisは使いやすい」と言っている友人もいました。やはり人によって異なりますよね。

キリンカルテ


おまけです。これは数年前にデモで触ったことがある程度であるので、あまり知りません笑  初期費用・ランコス0円という尖った性質があるので一応ピックアップしました。他にもレセプトや診療報酬前借りなどもできます。
導入金額:◎
ランコス:◎
操作性:不明
特殊効果:上記

モバカル


お待たせしました最後に登場モバカルです。お寿司で好きなネタは最後に食べるタイプです。シェア日本No.1、導入20万、月々5万程度です(公式HPに金額を明示しているので記載しています)。余談ですが、HPに金額を明示できるというのは、明朗会計であることを示しているので、その時点で好感度upですよね。

スクリーンショット 2021-03-11 23.06.39

操作性が抜群によい上に、母体がNTTエレクトロニクスと巨大ながらもフットワークはよく、毎月メジャー・マイナーアップデートがあります。ナビタイムとの連携を主導した某クリニックなど、都内でも有名クリニックが多数使っています。クリニック職員アカウントが増えると月々のランコスが増えます。
レセプトに関しては、オルカはもちろん「ちゃオ」とも連携可能です。
導入金額:◎
ランコス:◎
操作性:◎
特殊効果:モバカル掲示板でモバカルを使っているクリニックの人たちとなんでも相談できる eFAX(オリジナル,外注)。シェアが多い→ナビタイムなど連携アプリが多い。地域によってはオンコール代行依頼スムーズ。

モバカルで一番良い点は、「使いづらい」と言っている人に実際会ったことがない点です。「このカルテが使いやすい・好きだ」は人それぞれあると思います。  しかし、カルテという皆で使用するものは「使いづらい人を減らす」事も非常に重要な視点だと思います。


まとめ


今回は、セコム(OWEL)・ホーミス・モバカルについてご説明させて頂きました。カルテは日々使うものですから、導入費用の数万円は誤差です。ランコスは交渉しましょう笑。他の事業所に見学に行ったら、どのカルテを使っているのかを聞いてみて、ドクターだけではなくスタッフにも使い勝手を聞きましょう。「初めて触ってからどれくらいで慣れましたか?」という質問は、自院における研修期間の目安になるでしょう。「自分はもちろん、他のスタッフも使いやすいものを導入する」と考えながら、納得のいくものを選べると良いですね。

今回、ニッチな内容にしては文字数が多くなってしまいました。最後までお読み頂きありがとうございます。ここまで読んで頂いた方には、何か差し上げたいと思い、先着10000000名に30利確ポイントプレゼントすることにしました。   100ポイント貯まりましたら、Twitterにて教えてくださいね😉

こんなテーマが読みたい・ここについてもう少し聞きたい・利確先生ステキきゃー抱いて!などもTwitterのDMまでお願いします🙆‍♂️

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?