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「100日間生きたワニ」感想

一時期ツイッターで話題になった「100日後に死ぬワニ」がアニメ映画化し、「100日間生きたワニ」というタイトルになった。改題にはどのような意図・効果があったのか。原作マンガはたまたま初回から読んでおり、その見せ方に感心していたのだが、その工夫が映画ではどう表現されるのか。アマプラにあるのを見つけて、公開から2年ほど経ったタイミングで、そういや気になっていたのだったと思い出した。

原作と違い、映画は開始数分でワニが死ぬ。それから100日前にさかのぼり、ワニの生き様を振り返っていく。100日前に栞を挟むべき出来事があったかというと、その日は交通事故で入院したネズミを見舞いに行っていた。100日前というチョイスはキリの良さ、あるいは交通事故で死ぬワニと生還したネズミの対比、もしくはその両方であろう。制作者都合である。それを勝手にタイムスタンプにして「100日間生きた」と言われたワニは天国で腰を抜かしていると思う。「何の数字だよ!」って。やっぱり「100日後に死ぬ」の方が適切な気がする。

上映時間はトータル63分あり、ワニの振り返りは30分ほどで終わる。残り30分はオリジナルストーリーなのだ!得した!
ワニが死んで以降、どうも気まずいというか、居心地が悪くなって、仲良しグループは疎遠になっていく。これはすごく分かる。僕も似たようなことがあってから、中学校の友人とはもう10年以上連絡を取っていない。
話を戻す。ワニのいなくなった街に、チャラくて絡みのダルいカエルが引っ越してくる。こいつが本当に嫌だった。嫌われ役として描かれ、後々こいつは無理して明るく振る舞っていることが明らかになるが、そこから挽回するほどの時間は残っていなかった。ともあれ、作中の生き残りたちはカエル問題の氷解に伴って関係が回復していく。よかったね。最後は交際していたモグラとイヌが結婚して終わる。ハッピーエンドはいいものである。

事前に評価が低いことは把握していたので、なるほど、これは確かに、と思いながら視聴し、ついにエンドロールまでたどり着いた。いきものがかりの歌をバックに、キャストが紹介される。
「ワニ 神木隆之介」
え!?
「ネズミ 中村倫也」
「モグラ 木村昴」
「センパイ 新木優子」
「イヌ ファーストサマーウイカ」
ゾクッとした。キャストが豪華すぎる。これに、いきものがかりが歌って、興行収入4000万円!?じっとしていられず、思わず立ち上がってしまった。それほど恐ろしかった。「中学校の友人、10年ぶりに連絡を取ってみるか」とはならなかった。


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