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「きさらぎ駅」感想

きさらぎ駅について友人と話したのが記憶に新しいタイミングで、ツイッターのトレンドに「きさらぎ駅」が載っていた。アマプラで映画が観られるらしい。都市伝説ベースでB級が保証されている映画だ。嬉しい。都市伝説としては電車に乗ってたら知らない駅に着いて、そこから音信不通になるだけだったと思う。どうやって映画スケールに膨らますのだろうか。

変な映画だった。前半はきさらぎ駅に行って生還した人が語り部となり、後半は語りを聞いた人がきさらぎ駅RTAにチャレンジする。といっても、興味本位で行ってみたら、なんだ、聞いた話と同じじゃん、という具合にRTAが始まるのだ。もともとどうするつもりだったんだ。RTAは気持ちよかった。しかしRTA走者は語り部の仕込んだ嘘で生還できなくなり、死ぬ。

語り部は、いかにも現実世界に帰れそうな光り輝く扉をくぐると爆散して死に、くぐらなかった方が生還すると嘘をついた。本当は、光り輝く扉をくぐれば、生還する。

嘘が下手すぎる。
きさらぎ駅は異世界だから納得のいくルールだとは限らず、聞いた人は信じるしかない。とはいえ、嘘をつく人間の心理として、扉をくぐると生還できるところを「扉をくぐると死にます」は、それはちょっと粗すぎるのではないか。

まあそれは大変楽観的な人だったのだとして、嘘をついた事情も妙だった。異世界からは一人しか生還できない。語り部は一緒に迷い込んだ女子高生を助けられなかったことを悔やんでいた。生還できなかった人間は記憶がリセットされてきさらぎ駅行の電車に乗り続けるらしく、その子を助けるために嘘をついた。ここで気になるのが、異世界で死んだ人がループしていることに気付けるのは生還して2周目をやった者だけなのだ。2周目をやって初めて、前回と顔ぶれが同じことに気付くはずなのだ。語り部は九死に一生を得たあと、マジで興味だけでもう一回行ってる。2周目に行って、「へぇ~ループしてるんだ。これ誰か騙せば女子高生を助けられるかも!」と思いついて、そんでその回は女子高生を見殺しにして自分が帰ってる。

シナリオに瑕疵がない前提で考えるなら、きさらぎ駅のついでに語り部がめちゃくちゃ恐ろしい話だった。変な映画!

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