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【ホツマ辞解】 〜大和言葉の源流を探る〜 ㉖「きく」と「たちはな」 <111号 令和2年10月>

我が国日本を象徴する花といえば、ご皇室の紋章である「菊」が筆頭ですが、ホツマでは「たちはな」も重要です。「菊」と「橘」については、本誌の104号で駒形一登さんが、「ホツマでわかる縄文の思想④」で詳細に解説しておられます。その要点を整理すると、

まず「菊」は、

1.ホツマでは 「ここ」 と呼ばれることが多く、「きく」 とも 「ここな」 とも 「ここなし」 とも呼ばれている。

2.菊は日月の霊力を持つので、食べると心身が明らかとなって「ヲメの道」に親和し、ケモノに転生することを防ぐ。

3.ココは 「極まり・至高・究極」 を意味する。ココノツ(九つ) のココ(九)もこれと同じで、「極めの数」 を意味する。

4.ココは「九・九」でもあり、陰暦の九月九日に『菊の祝』 と称して、大年(達成・完成の意) を祝った。

 つぎに「橘」は、

1.ホツマではトコヨの象徴

2.「立ち」「花」 の意。ハナは 「突き出るもの・立つ(起つ・発つ)もの・開くもの」 は全部ハナである。

3.タチバナ(橘)は 「かぐわしき香りが立つ木」 を意味し、故に 「カグ(香久・香具)」とも呼ばれる。4.初期のクニトコタチはこの木を 「国を立(建)てる」 モノザネとして用いた。

『タチハナ 植えて 生む御子の タカミムスビを 諸 称ゆ 東のトコタチや』ホ2

『ツクシに御幸 橘を 植えてトコヨの 道 成れば 諸カミ 受けて 民を治す』ホ5

 さらに、「左近の桜・右近の橘」即ち【平安宮内裏の紫宸殿(南殿ともいう)前庭に植えられている桜とタチバナ。左近・右近は左近衛府・右近衛府の略称。左近は紫宸殿の東方、右近は西方。「世界大百科事典」】と解説されるように、橘は、桜とあわせて皇居を象徴する樹木です。そのモトオリは、ホツマ伝承にあります。

『南の殿に橘植えて橘の宮  東に桜植え大内宮』ホ6

 橘には、厄除けの霊力があると看做されており、

『ハタレも領巾し 回す貝 見て驚けば 考えて ホラ貝 吹かせ (略)橘 貪らせ これを討つ』ホ8

『初日祭は フトマガリ 山の榧・栗 海の布も トコロ・橘 芋頭 シムの節会は 足る睦み』ミ9

 などと、ハタレ退治や正月飾りに重用された記述があります。

(駒形「ほつまつたゑ解読ガイド」参照)

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 日本において「国花」は、法的には定められていません。一般的には、「菊」と「桜」が日本を象徴する花だと認識されています。(ちなみに「いけばな」の世界では、古来日本の花は「梅」だったけれども後に「桜」と考えられるようになった、と伝えられているそうです。興味深いですが、これは、また別の機会に)
 「桜」もホツマツタヱでは、極めて重視される花ですが、「菊」に並ぶ存在は、やはり「タチハナ<橘>」でしょう。
 「タチハナ」は、記紀でも「タジマモリ」の逸話の中で、「常世の花」として持ち帰ったことを伝えています。その花は、「ときじくのかぐのみ(このみ)」と呼ばれていたと記述します。「ときじくのかぐのみ」を日本書紀は「非時香菓」と表記していますので、素晴らしい香りであった特徴があります。
 けれども、ホツマツタヱを愛読すると、「橘」は、香りだけではなく、「正統なる統治の象徴」を意味する樹花であることが明らかです。つまり「香久山」は、「橘が植えられている香り高き山」と云う意味を超えて「正統なる統治の中心にある山」という位置づけなのです。
 我が国に、「橘」は<現存>しているのでしょうか?

あんまり関係ないけれど、オレンジ良いね♡ ↑


縄文の教え88 より

新刊『縄文の教え88』では、菊花と日本人の習俗を取り上げています。

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