むずかしいこと

近所のクリーニング屋で働く平凡な女子大生(21)

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君が捨てた本、わたしもちょっと好きだったんだよ

創作漫画『ラン・ラン・ラング・ド・シャ』 ※画像の無断転載・無断使用禁止

    • まるでだめな僕

      昔、小学校にテレビが来たとき。 地方の教育番組が校長に取材に来たとかなんとか。 急に校庭に見慣れない車が入ってきたもんだから、みんなドッジボールを中断して遠巻きに眺めていた。 最初に車から降りてきたのは髭のおじさんで、その次がカメラを担いだ帽子のお兄さんで、でも、そのまた次からは覚えていない。 よくわからない機材やら棒やらがバンから雪崩れてくるのがなんだかおかしくて、赤白帽の下で頬に笑いを溜めていた。 すぐに橋本先生がバンに駆け寄っていって、端の駐車場を指さしている。僕は目

      • 埋まる煌めき

        雨、夜の大阪、ヨドバシカメラ 雨が降ると都会に出る。 アホは高いところに行きたがるが、私のように男と金にだらしない人間は反射するネオンを追いかける。 煌めきを求めているけれど、即日納品最優先。インスタントでも良い、なんなら3分も待てないくらい。 たぶん、どこでも良いのだ、きらきらしているところであれば。 誰かに会いに来たのかも そこかしこが煌めく都会の街は、足元も、頭上も、地下も空中テラスに至るまで、隙間を埋めるように丁寧に全部を照らし上げている。 雫を滴らせるL

        • 付き合って三か月の男とラブホで精子観察した話

          1泊5300円の寂れたラブホテルにて深夜1時半。 固いベッドで見た彼の精子の一粒ひとつぶを私はよく覚えている。 オタマジャクシの形をした無数の黒い物体がプレートの上で確かに生きていた。動かず群れになって固まったり一匹狼のように猛スピードで右上に突き進んだり、各々好き勝手に振る舞っているのを目の当たりにした。 震えるように左右に振れ、その振動で前に進むそれら、いや彼らを、私は拡大鏡からフレームアウトするまで一匹ずつ追いかけて観察した。執拗につけまわる私の視線から尻尾を巻いて逃げ

        君が捨てた本、わたしもちょっと好きだったんだよ