付き合って三か月の男とラブホで精子観察した話
1泊5300円の寂れたラブホテルにて深夜1時半。
固いベッドで見た彼の精子の一粒ひとつぶを私はよく覚えている。
オタマジャクシの形をした無数の黒い物体がプレートの上で確かに生きていた。動かず群れになって固まったり一匹狼のように猛スピードで右上に突き進んだり、各々好き勝手に振る舞っているのを目の当たりにした。
震えるように左右に振れ、その振動で前に進むそれら、いや彼らを、私は拡大鏡からフレームアウトするまで一匹ずつ追いかけて観察した。執拗につけまわる私の視線から尻尾を巻いて逃げ