1年間の研修医生活① ~初めての当直~

こんにちは、堀田です。


僕は先日、クラブハウスで環境にやさしい魔法のスプレーの作り方を聞き、早速お風呂の掃除をしました。
今までとは違い、空間まで爽やかできれいになり、気持ちの良い一日となりました😊


今日からの数回は、研修医時代の体験について書いていこうと思います。


前回の「僕が医者になるまでの道のり⑧」で書いたように、僕の医者としての初めての勤務は、5月15日でした。


この日は日曜日で、一般診療はやっていないため、救急外来での診療を行いました。


救急外来は、他の病院が休みということもあって患者さんが多く、そのほとんどは小児科の子供たちでした。


救急外来への受診にあたり、患者さんから事前に電話がかかってくることがあります。

急に子供が熱を出したというお母さんからの電話では、よく「小児科の先生はいますか?」という質問をされており、僕たち研修医はそれを横で聞いていました。

同期の友人と冗談交じりに、
『「医師免許を取ってから3日目の先生がいますが、良かったら来てください。」と言ってください』
とどうしようもないお願いを事務の人にしたりしました。
(もちろんそんなお願いは聞いてもらえませんでしたが😅)


今となると、緊張から来るストレス発散のためにそんな言動をしていたように思います。


実際のところ、院内には小児科の先生がちゃんといたため、初日の救急外来ではまず小児科の先生の診察を後ろで見学することになりました。


2時間ほど見学すると、
「じゃあ後はお願いします。」
と言って小児科の先生は病棟に戻ってしまいました。


この時、人生で初めて「血の気が引く」というのを体感しました。


真っ白なカルテを目の前にして、子供の頃、自分が小児科を受診したときの記憶を頼りに、勇気を振り絞って「次の方どうぞ。」と言いました。


初めての患者さんは、お母さんに抱っこされてやって来たお子さんでした。


診察室に入ってきた瞬間、お母さんと目が合ったのですが、その瞬間、テレパシーで「こんなに若くて大丈夫かしら・・・」という心配そうな声が聞こえた気がしました。


明らかに不安そうなお母さんを目の前に、僕の不安も最高潮に達していました。


まずはお母さんから一通り話を聞き、次は診察です。

聴診器を胸に当てて肺の音を聞こうとしましたが、子供は泣いており、なかなかうまく聴診できません。

上手に聴診器を当てないと、泣き声による爆音で耳が痛くなってしまいます。

唯一肺の音が聞けるのは、泣いている合間の息継ぎの瞬間だけです。その瞬間を狙ってなんとか聴診器を当てます。


おなかの診察も同様です。
泣いているとやっぱりわかりにくいので、息継ぎの瞬間に聴診と触診を行います。


一苦労の診察の後、お母さんから「先生、風邪でしょうか?」と尋ねられました。


今でこそインフルエンザの診断キットがありますが、当時はそういったものはありませんでした。


実は理論上、風邪と診断することは困難なのですが、ひとまず「風邪」として、解熱鎮痛剤、咳止め、抗生物質などの薬を1,2日分処方し、週明けには必ず小児科に受診してもらうよう伝え、その子の診察を終えました。


初めての診察が無事終わり、ほっと一息ついたと同時に、「小児は小さい大人ではない」という大学での教えを思い出し、これからも小児科の診察法をしっかり学んでいこうと思いました。


研修医の診察の様子は、ベテラン看護師さんが横で逐一チェックしてくれていました。


看護師さんたちも、僕たち研修医を育ててくれているんだなぁ、とありがたかったです。


この初勤務の日の深夜、私が後に進むことになる外科へと導いてくれた患者さんとの出会いがあるのですが、それはまた次回書きたいと思います。


今日もお読みいただき、ありがとうございました。


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