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『氷の城壁』第4巻購入・紹介・感想(その4終)

すでに第5巻が発売され数日経過しておりますので、第4巻の残りの感想については今回で打ち止めとなります。
本記事を含めてネタバレになっていますのでご注意くださいませ。
(その1)(その2)(その3)は以下をご覧ください。

涙を流してしまうほど感動してしまった第4巻部分(その4)

【美姫を救うミナト(主に41話「和」の前半)】
実はこの一連のシーンについては、涙を流したわけではなく、コミカルな部分もありながら「ミナトすげぇ!」とものすごく思ったシーンとなります。
イケメンで表面的なコミュ力抜群、かつカンも良い人なんてそうそういませんが、こんなセンスの良い救い方もあるんだぁ、という具合です。
美姫との仲直りをお願いしたりもしていないし、相手を責めるわけでもなく、緩急自在なやりとりながらも、クラスメイト3人の意識を多少反省方向にもっていくことができたといえるでしょう。

ミナトは、ヨータが自販機で立ち止まっている美姫のもとに一瞬戻っていったこと(39話)に気づき、加えてヨータがその晩美姫に会いに行っているということも間違いないとみて、ヨータに翌朝話しかけます。最初ごまかしたものの、二の句を聞いたあとは、ごまかせなさそうだというところからこの41話は始まります。ミナトのカンの良さがまずは示されています。

美姫を救う具体的な局面は、学食での偶然な友達間の会話に対し、ミナトのクールなものの言い方・表情ではじまります。そしていきなり、直接話したこと無い子3人のニックネームを正確に告げてちょっとビビらせ、相手が美姫との関係を尋ねると、正直に、中学のとき塾で知り合って以来の友達だということと、みんなの話聞いているよ、とギクっとさせたあと、ミナトはその話がたわいもないことで、美姫が3人と食事するためにどこのお店がいい?と自分に相談してきたことや、美姫自身も3人と仲良くなるために調べていたことを告げ、表情もクールな表情からにこやかな表情に変化させて相手の心を開かせ、相手は正直に思っていたことを言います。
ミナトは「美姫が友達の陰口たたくわけないじゃん」と美姫の素直でよいところをアピールし、そのあとはフレンドリーに会話をまわし、ある程度たったあとヨータにひきづられて場所を離れます。
ここではミナトの「距離感のおかしさ」も非常に効果的に使われています。

【美姫と友達女子3人との仲直り(41話「和」の後半)】

こゆんとの昼食兼相談を終えて自分の方向性を定めた美姫は、午後の授業が始まる前に、3人に向かって放課後話がしたいと告げます。そして放課後美姫から話が始まります。

友達女子3人も「女子めんどくさい」というほどのキャラクターではなく、美姫の自己開示と謝りにたいし、自分たちも過剰に美姫を持ち上げていたことに対して謝り、わだかまりが解消されることとなり、再度以前のとおりの友達関係が続くこととなります。

ここの部分の詳細な内容は省略します。お互いに正直に素直に話しあうという場面であり、ギャグ的な面白い表現こそかなりちりばめられていますが、隠し事のない正直な気持ちをもってやりとりを行うのが一番だ、というのが先生の言いたかったことではないかと思います。
ただし「女子めんどくさい」のタイプでないことが必須なのかもしれません。今回の3人ではなく、あとで出てくる、ミナトに振られる前の桃香ちゃん(この段階では「女子めんどくさい」の素質を相当持っていた)を含めた3人グループとだったりすると、うまく仲直りができていたかどうかは正直疑問におもいました。

ということで長々となってしまいましたが、「男女を超えた友情の素晴らしさ」を見事に描き切ったのが第4巻だったと思い、この次は意外と重要である第5巻の内容・感想に移ることとします。

お付き合いいただきましてありがとうございました。

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