2023年J2リーグ第5節 vs清水エスパルス@静岡スタジアムエコパ
先週末の静岡ダービーについて、試合内容もさることながらサポーター間のダービーマッチに対するスタンスについて一部で盛り上がっているので、自分なりに考えを整理するためにも書かせてもらいます。相変わらずの駄文ですが、お暇な方はどうぞお付き合いください。
静岡ダービーはJリーグ創生期からの因縁に始まり、ときには逸脱した事件を起こしながらも磐田と清水が30年もの歴史を積み重ねて創り上げてきたものです。決して行政区画どうこうの話ではなく、「あいつらにだけは絶対勝たなければならない」という想いこそがダービーをダービーたらしめるものであり、それが両陣営の共通認識として古参から若い世代にまで広く浸透しているからこそ、このマッチアップは長いシーズンの一試合という以上の意味をずっと持ち続けているのだと思います。
下部組織で育った後藤や、清水にも在籍していた松原といった選手たちが「ダービーは結果が全て」という認識を示してくれていることからも、その伝統が両クラブにしっかりと受け継がれていることが見て取れます。ここまでの域に達しているダービーマッチはJリーグ全体をみてもそう多くはないんじゃないかと。
そもそもダービーマッチの起源は19世紀イングランドのダービーシャー州における…とか言い出すと永遠に終わらないので割愛しますが、近年Jリーグでは「同じ地方だから」「クラブカラーが近いから」など、なにかと理由をつけては興行的なダービーが作られる傾向にあります。
バックボーンもなく降って湧いたフェイクダービーに選手やサポーターが特別奮い立つわけもなく、これらは公式イベントの一環として消化されていくものに過ぎません。
今年から「静岡三国決戦」なんて銘打たれたところで、じゃあ藤枝MYFCといきなり同じテンションでダービーやれるかといえばそんなはずがなく、逆に言えば30年後「静岡ダービーの相手っつったら藤枝に決まってんだろ!清水なんか知らねえよ!」みたいな状況になっている可能性も否定はできません。いずれにしろ、一朝一夕でここまできたわけではないということです。
同時に、重要な一戦だからこそ結果が出なかったときどうなって選手を迎えるべきか?という議論についても簡単に答えが出るものではないと思います。そもそも他者が何を考えてそのアクションを選択したかなんて傍目には分からないわけで、上っ面だけの拍手なんて世界の至るところに溢れているし、リスペクトを込めたブーイングだって矛盾なく成り立つはずです。大切なのは誰かに強制するのではなく、選手達に何をどう伝えたいのか自分の頭で考えて行動することじゃないかなと。
どんなアクションを取るにしても「清水エスパルスとの一戦は他のどの試合とも違うのだ」という意識が根底にあってほしいし、それが選手にもサポーターにもしっかりと受け継がれていってほしいなと切に願っています。お互いに煽ったり煽られたりといったやり方は今どき疎まれる一方かもしれませんが、賛否はあれどバチバチにやり合える関係性はいわば歴史の財産であり、時代の波みたいな漠然としたものに押し流されてしまうには勿体ないものだと思います。
(言うまでもないですが、単なる暴言、個人攻撃、差別的表現の類いは許容できるものではありません。ブーイングも叱咤激励もリスペクトが大前提にあってこそのコミュニケーションだと思いますので)
今回久しぶりに行われた試合前のサポーター決起集会、団体の人達もそうじゃない人達もみんなで肩組んで楽しそうに歌っているのを見て「なんだかんだ言いながらみんなジュビロ好きじゃん」と、なんだか安心したのが印象的でした。
「ダービーで勝てなかったのに拍手するようなやつはサポーター辞めちまえ」VS「90分間戦った選手達をブーイングで迎えるなんてあり得ない」という対立構造も今に始まったことではありませんが、どうせなら僕はコンコースで見たあの光景を信じたいと思います。
Jリーグ60クラブのなかからわざわざジュビロ磐田を選んで生きてる同志たちが最後に笑えるシーズンになるよう、来週からまた皆で戦っていきましょう!お疲れさまでした。
Kz Ishii (Instagram @kz_ishii)
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