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説明でもイメージでもない!?大東文化大のムービーが開拓する、ブランディングムービーの新たな表現&アプローチ。

大学のブランディングの一環としてムービーをつくることがよくあります。多くは大学が伝えたいメッセージやイメージをギュッと凝縮させた、カッコよさ重視のもののように思います。今回、見つけた大東文化大学のブランデッドムービー「百年目の祝福」は、これら一般的なブランディング系のムービーと、それこそ180度違うような内容でした。でも、すごくできがよくてびっくりしました。

このムービーがどんな内容なのかについては、リリースにまとめられていたので、まずこれを引用させてもらいます。

「これは、大東文化大学と共に100年生きた、カッパの物語。」
大東文化大学に住み、キャンパスを見守り続けてきた"大東文(化)カッパ"が、そこで得たさまざまな学びを通じて自分の可能性に気づき、ある挑戦をするというストーリー。大東文化大学と共に100年間を歩んできたカッパの視点を通じて、同大の魅力が再発見されていく。

ほら、よくわからないでしょ。なんでカッパなの?という気がして、リリースやムービーを見ても、わかるのは"大東文(化)カッパ"ということだけ。語呂がいいわけでもなく、ネーミングとしても"(化)カ"しかかかっていない。このカッパが、大東文化大で過ごすキャンパスライフをムービーに落とし込んでいるのが、このブランデッドムービーです。制作経緯はわからないのですが、外部業者が提案してきたのだとしたら、そのときのプレゼンテーターはなかなかのストロングハートの持ち主だと思います。

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ただ、ここまでだと、ややご乱心気味のムービーということで終わるのですが、見てみると、これがなかなか面白いんです。ムービーのストーリーだけを読むとウケを狙い過ぎていて、見ているとツラくなるんじゃないか……という気がしたんですが、最後までちゃんと見られる。全体的にカッパの演技が抑えめなのがいいのか、単純に映像として作り込まれているからなのか、いくつの理由があるように思います。

また、ムービーの半分くらいは、カッパが大東文化大の魅力を語るんですが、これって単なるナレーションだと持たないような気がします。第三者であるカッパが淡々と語るというシュールでコミカルなシチュエーションだからこそ、嫌味を感じず大学のPRを聞けるのだと感じました。

さらにこのムービーは内容もさることながら、大東文化大が、100周年記念のブランディングムービーという重要な位置づけにあるムービーで、こういうはっちゃけたムービーをつくれる大学である、ということをアピールするツールにもなっています。ムービーのリリースに、大東文化大は「地域・領域・時代を超えた多彩な文化が交差し、新しい価値が生まれる場所を目指している」とあります。こういったムービーをつくる大学なら、多彩な文化も柔軟に受け止められるのかなぁ、という気がしてきます。

他のムービーはともかく、大学を象徴するブランディング用のムービーはきれいにつくりたいという気持ちはすごくわかります。でも、洗練されたムービーは野暮になるのであれこれ説明できないし、きれいであるからこそ印象に残りにくいという側面があります。多くの大学が洗練されたムービーをつくることがわかっているのであれば、あえてそこからはみ出てみる、さらにいうと、自分たちらしくはみ出てみる、というのもブランディングのアプローチの一つとしてありなのかもしれません。大東文化大のムービーを見て、考え方の幅が少し広がったような気がします。

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