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甲南女子大学の公開講座の打ち出し方をヒントに考える、オンライン学習に慣れた世代との新たな関係性のつくり方。

新型コロナが流行ってから、公開講座をオンラインでやる大学が増えてきたというか、それがニューノーマルな開講方法として定着しつつあるように思います。公開講座の担当者からは、オンライン化したことで受講生が増えたという声もちらほら聞いており、少なくともこの種の取り組みに関していうと新型コロナは追い風だったのではないでしょうか。

今回、見つけた甲南女子大学のリリースも、そんな公開講座の変化を感じさせるものです。このリリースを読んで感じたのですが、オンライン公開講座は大学と卒業生との関わり方をよりよく変えるために、ひと役買うコンテンツなのかもしれません。

甲南女子大のリリースの面白いところは、オンライン公開講座を「エクステンション講座」と捉えなおしたところです。公開講座それに生涯学習講座と、エクステンション講座はどこが違うのかというと、明確な定義は私にはわからないのですが、前者は学外の方に向けた生涯学習のための講座、後者は在学生をメインターゲットにした通常授業をエクステンション(拡張)した講座という位置づけなように思います。これまで学外をターゲットにして開講していた公開講座を、これからは在学生も意識して開講するという意志が、このリリースからは見て取れます。そしてこれは大学側の思いつきではなく、オンライン化したことで公開講座に参加する若年層が8名から101名にまで増えたという事実によって決められたようです。

思えば、コロナ禍で出歩けなくなったのは、社会人だけではありません、学生もそうです。そして、学生たちはオンライン授業という学び方に慣れているわけで、そうであれば他の専門分野や他大学の学びにオンラインで触れてみようという人が出てきても不思議ではありません。ここまでは、ぼんやりとイメージしていたのですが、それを大学側がちゃんと受け止めて、具体的なメッセージとして発信し、行動に移すというのは、新しいように感じました。

今の学生たちは幸か不幸か、オンラインの学びを日常的に経験する、はじめての世代です。この人たちは、これ以前の世代と比べようにないほど、オンライン学習に対して抵抗感がないように思います。こういった学生たちに、単位取得を目的としない、全世代利用可能なオンラインの公開講座があることを伝え、使うように促していく。言い換えるなら、大学がオンライン公開講座を軸にして、学生との関係性構築を意識的に取り組んでいく、ということなのですが、これはまさにコロナ禍によってはじめてできるようになったアプローチなのではないでしょうか。このアプローチで在学生との関係性をつくっておくと、卒業後もリカレント教育等を受け入れてもらいやすい関係性を築けるように思います。そして、卒業後も大学のオンライン教育を活用する人が増えていくと、社会の大学に対する認識もじわじわと変わっていくのではないでしょうか。

また、大学と卒業生との接点という意味では、これまではホームカミングデーなどがメインコンテンツでした。しかしオンライン学習に慣れた層が卒業していくと、卒業生限定のオンライン講座や、卒業生のみ無料ないし割引されるオンライン有料講座などが、卒業生向けコンテンツの中心になっていくかもしれません。あくまでも個人的な意見ですが、ホームカミングデーは在学時の思い出を“引き”にした大学と卒業生とのつながりで、魅力的ではあるものの、大学だからこそできる、というものではありません。大学だからこそでき、また人生のプラスになるものという意味では、アカデミックな知見を絆づくりに役立てるのがいいように思っています。

今回の甲南女子大学のオンライン公開講座に対しての姿勢や考えは、在学生や卒業生との関係づくりのヒントになるし、とても共感ができます。オンライン教育に慣れた世代との関係づくりは、これまでと同じアプローチでいいのか?今だからこそ、ちょっと本気で考えてみるべきなのかもしれません。

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