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在学生向けアプリは今後の必須アイテムになるか?東洋大学の取り組みから考える、教育DXに必須な一手。

年度替わりのタイミングのためか大学からのプレスリリースが普段よりも多いように感じます。今回はそんなたくさんのプレスリリースのなかで目に止まった、東洋大学の在学生向けアプリを取り上げたいと思います。おそらく、今後こういった取り組みは増えるんじゃないかなぁと、個人的にはすごく感じています。

取り上げるアプリの名前は「東洋大学公式アプリ」。このどスレートなネーミングからも、このアプリが大学生活の基幹にすえられるだろうということが容易に想像がつきます。このアプリでは大学からの情報発信を集約して受け取れるほか、学修内容のログが集積されその内容をもとにしたアドバイスをもらえるなど、ある種、大学生活を充実させるための個人向けコンシェルジュのような役割を担うようです。

ちなみに、今回のリリースには、このアプリの紹介動画があり、何気なく再生してみたところ、学長先生がアプリをPRしていました。若干シュールではあるものの、学長先生が自らPRするほど学内的にこのアプリを重視しているのか、という機能とはまた別の情報が動画からヒシヒシと伝わってきて、なかなかインパクトがありました。

東洋大学というと、大学案内(冊子)をなくし受験生向けの情報発信をウェブに集約するなど、デジタル面に強く、思い切ったアプローチをとる大学です。今回のアプリも、この流れに通じるものがあるように思います。

アプリを主軸にして、情報の受発信や学修ログの取得を行うことのメリットは大きく二つあるように思います。一つは、デジタル上に学生たちの、さまざまな情報が集まることで、情報の分析や、それをもとにした改善活動が容易になること。これまでであれば情報を集めたとしても、その解析には多くの労力が必要でした。しかし、AI・データサイエンスが急速に発展している昨今、この解析は年々容易になるし、そこから得られる知見も増えていくでしょう。

データ解析関連の辛いところは、いくら解析方法が発展したとしても、そもそもデータを取っていないと解析しようがない、というところです。現段階で、東洋大学公式アプリから得られた情報をどこまで解析できているかはわかりません。しかし、アプリに一本化し、ここにデータを集積できるようになれば、そのデータはゆくゆく他では得ることのできない宝になるように思います。

もう一つは、コロナ禍にオンライン授業が導入されたことによって、急速に大学の学びが多様化する傾向にあります。その結果、学生たちの状態を対面で把握することが困難になっていくように思うのです。こういったなかであっても、アプリベースでのコミュニケーションを根付かせることができれば、学生たちの把握、そしてサポートが比較的スムーズにできます。視点を180度変えるなら、アプリを通じて学生の状況を把握し最適なサポートができるなら、時間や場所にしばられないさまざまな学び方を積極的に推進できるとも言えます。

アプリというのはあくまで手法であって、本取り組みのミソはオンライン上で学生を管理でき、なおかつ情報(データ)を集積できる、ということだと思います。これはデジタル化が加速度的に進み、オンライン授業という学び方の“黒船”がやってきた現在の状況から推測するに、やっておいた方がベターなんてものではなく、必須、なのだと思います。そう考えを巡らせていくと、アプリのPRに学長が出るのも、ある種、必然なのかなぁ……という気がしてきました。

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