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ほとりのしくじり日記#2「届ける相手を見失うべからず」

突然ですが、わたしは「音声コンバーター」を名乗っています。

これは、以前、#校正部 の勉強会においておおき先生より「コンテンツコンバーター」というお仕事について教えていただいたことに端を発しています。

・Converter=変換する人
・既存のコンテンツを別プラットフォームへ変換できる人


ただ、今の流行りとしては、ブログをYouTubeにするとか、Twitterをインスタのフィード投稿にするなど、なんとなく「ビジュアル」のイメージが強い。

でも、わたしができるのは「音声配信やセミナーなどの音声を記事化する」という極めて狭いプラットフォームであるため、「音声コンバーターのほうが分かりやすいか」と思い、勝手に名乗らせていただいているわけです。

ということで先日も、ある方の音声配信を記事化していたのですが、

・ブログでマネタイズ⇒ブログで収益を上げる
・ライターとしてスケール⇒ライターとして実績を上げる

といった感じで、言い回しが修正されていたのです。

これを書いたときには、「いかにも業界の人っぽくって、ちょっとカッコいい表現でしょ」なんて思っていたんですが。

……いや、ちょっと待てよ。そもそもこの文章は誰に届けるんだっけ?

そうだ。届けたいのは現在バリバリのライターの人というよりはむしろ、ライターや書くことに興味を持っている人。だから、ライターじゃない人にも分かりやすい言い回しにしないといけなかったのに!

そのとき、以前聞いたあるプロ野球の通訳の方の体験談を思い出しました。

その方は、日本語がほとんど分からない某外国人選手の通訳を担当しておられました。

ある日、その外国人選手がデットボールスレスレの球を投げられ、怒ってマウンドのピッチャーにつめよったそうです。

その際に口から出た英語は
「どこに投げているんだ!このクソがっ」
的なののしり言葉。

しかし、その通訳さんがとっさに訳してピッチャーに伝えたのは、
「妻や子どもたちが心配するから、お手柔らかにな」
という言葉だったとか。

結果的にその言葉のおかげで投手も素直に自分の非を詫び、その場は丸く収まったのだそうです。

言われたことばをただ機械的に翻訳するのではなく、伝える側と受け取る相手の立場をとっさに判断して、両者の橋渡しをした通訳さんの仕事は、まさにプロ。

わたしも音声コンバーターのはしくれとして、そんな仕事をしていきたいものです。


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