「立ち漕ぎ」をやめたとき、人は大人になるのかもしれない
学生服を身にまとう小柄な彼は、ものすごく急いでいた。あどけなさはあまり感じられないものの、袖にまだ余りがある。きっと「身長がまだ伸びるから」という理由でオーバーサイズの制服を着ている高校一年生なのだろう。
信号が青に変わるや否や、いや正確にはまだ変わってはいないけれど、彼は横断歩道を自転車で通過し始める。もちろん彼は「立ち漕ぎ」だった。
私も昔はいつも急いでいた。自宅から高校までは自転車で30分。遅刻しようものなら、道中の大半はずっと立ち漕ぎ。ただ、よくよく考えてみれば、特