お土産はごろ寝 ーヘルパーさん日記2022年10月
「なんでも経験、は通じない時代やから」
夜の台所で、唐崎さんは言った。ちびちび飲んでいたお湯割りがちょうどいい温度で喉を通り抜けていった。
私がさぬき広島に初めて来たのは去年の夏だった。友達と2人、計画を立てずに瀬戸内海をふらふらと旅していたときにGoogleマップで見つけたのがこの宿。ホームページの雰囲気に惹かれ、宿にある本棚があまりに好みでここに決めた。
夜にはオーナーの唐崎さんと手作りの果実酒を飲みながらおしゃべりし、本棚の本を読みふける。ふと目を覚ませば遠くに船の