見出し画像

coyote

崖の上に立つロボットの前に現れた灰色の狼。
狼は言う。
「君はどうしてこんなことをするのか」
ロボットは言う。
「…失敗は恐れているが、好奇心は恐れていないからだ」

その時、あの声が聞こえた

ーハルディンドームへようこそ。

さあ、狼の遠吠えと共に。
世界の合理にそぐわなかった者達へ。
不意につく突風と
私は貴方の片割れで
貴方は私の主。
貴方がこの世界を出るというなら
私も貴方の手を引こう
この世界の雨では汚れはぬぐえない
海から流れる潮風がさびかせる。
今は夜。誰もいない。
貴方と私だけの崖の上。
丸い月が母親のように見守っている。
コヨーテ、コヨーテ。
この世界に届くように叫ぶ。
満月にあわせた遠吠えは
コヨーテ、コヨーテ。
時の流れに抗う術はないね。
でも貴方はよく分かっているだろう。
どうしてかって、いずれ解るさ。
百年、千年、貴方がどこへ行こうとも
狼は貴方の影に潜んでついて行く。
(でも、もう少し賢く逃げればよかったのかな。なんて)

コヨーテ、コヨーテ。
遠吠えと共に海の底へ消える世界。

※平沢進「コヨーテ」から一部歌詞をお借りし、執筆しました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?