一番初めにもらったもの

確かに今まで散々傷つけてきました。
『これ』が、何なのか今もよく分かりません。
だって、まるで手みたいなんです。
でも灰色の手なんか見たことない。
体全部灰色なんですが、これはなんですか?
つねったら痛いです。
ぎゅっと握ったら変な感じがします。
まるで今まで見たことあるものばかりで…
なんなんですかこれは?
私なんて知らない。
『これ』の名前だって知らない。
こんなこと聞いてないのに。

胸にすこしだけ線を入れてみたら、すごく痛くて、
彼と同じ色が出てきました。

よく解からなくなりました。

『これ』は、誰だったんだろう。
今まで何で悩んでたんだろう。
でもこれが許されるのなら、
今まで、なんて別に気にしなくてもいいかもしれない。
それこそ笑えるかもしれない。

そう思っていたら、
突然君に凄く怒られました。

君は声だけだとすごく怒っているのに、顔はすごく悲しい顔でした。

「なにやってるの」
「どうしてこんなことしたの」

その時初めて「やってはいけなかったこと」なのだと知りました。

そしたら今まで悩んでいた答えが、次々に解かりました。

線を入れた時すごく痛かったのは、生きている証拠だったこと。
線の間から君と同じ色が出てきたのは、間違いなく君から生まれたからということ。
今これら全てを考えているのはこの身体だということ。
そして、これからは「自分」として私が生きていくということ。

そしてなにより、
今、私が君に物凄く愛されているということ。

それからしばらくして、私は「Aaron」という名を貰いました。
そして胸には大きな傷跡が残りました。

深い深呼吸をして、私は今から生きていく。
私はもう一人では無い。一度、素晴らしい愛を貰ったから。
もし苦しくても、帰って来れる場所がある。
そう思うと、不思議と大丈夫だった。

そうやって出来た私の基本は、現在も変わらない。
もし誰かに「あなたが間違いなく言える事は何ですか」と聞かれたら、4つ答えるだろう。

私の名前がAaronということ。
灰色の肌は自分の個性ということ。
大切な友人がいること。
それで、
少し背の低い自分と同じマリーゴールド色の、同じ時を生きた「Reol」という親が居て、彼には絶対敵わないこと。

あと絶対言わないけど一つだけ。

Reolのこと大好き。

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