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2020年の恋人たち

島本理生の新刊の発売日をチェックしてから、早く買いに行きたくて仕方がなかった。
それがあれば、わたしの三連休は満たされたものになる、という確信があった。
他にも読み進めている本はあるけれど、島本理生の、しかも新刊だなんて魅力的過ぎる。
本屋さんに並べてある数々の新刊の中から一瞬で見つけてレジへ持って行く。カバーはお断りしたのだけれど、レジ袋のない世界で本を買うと剥き出しのまま手渡しされる、という現実を忘れていたので、慌ててエコバッグを出す。どうか擦れたりしませんように。

無事に家に着いたけれど、もうもったいなくて。
だけどパラパラとめくってみる。
そこで、あっ、と思った。

“パークハイアット東京”と“ロスト・イン・トランスレーション”の文字が見えたから。

あぁ、やっぱり島本理生が大好きだ、と思った。
その2つのワードはわたしのお気に入りだった。

30歳を過ぎてから、わたしは、1年に1度自分に特別なご褒美をあげることにしていた。

特別なホテルに泊まること、あるいは特別なバーで時間を過ごすこと。

きらきらとした場所に身を置くことはほんとうに楽しくて。そうやって自分を大事に扱えるようになったことを誇らしく思えた。

それらを日常にしないように、と自分にブレーキをかけることも大切で。間違っても、他人にひけらかすための贅沢ではないことを肝に銘じた。

今年はコロナ禍でまだ自分にご褒美をあげていない。だけど、次はどこへ行こうかと考える時間も嬉しいから、大きな楽しみとしてとっておこうと思う。

日常は、好きな本を読む嬉しさで彩られる。

これから読み進める物語が、特別なものとしてわたしの中に残りますように。

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