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上海便り Vol.6 上海蟹

友人、知人の皆さまへ

10月に入り気温は20℃程度。ベストシーズンです!! 本日は上海蟹について。

≪上海蟹という食べ物≫

上海便りで上海蟹の話題をするなんてあまりにもベタすぎて少し躊躇しましたが、やはりこれに触れないわけにはいきません(笑)。ご承知のとおり、淡水にすむ味噌の部分が何とも美味な小型の蟹です。逆にその大きさゆえに足の部分は極めて食べるのが面倒で、身を中々食べるのに苦労する食べ物でもあります。上海近郊の陽澄湖のものが本場とされていますが、最近は他の地域の生産も活発で陽澄湖のものは全体の出荷量の1%程度ということで希少価値が高まっています。蒸して食べるのが王道ですが、例えば小龍包の具などに加えられたり、炒め物に利用されたりと、上海料理を語る上では外せない食材です。最近は養殖が進み大量生産できるようになってきたもののまだまだ高価な代物で、特に旬の10月~12月あたりは価格も高騰します。周りの湖で取れたものを数日陽澄湖へ離し、それを陽澄湖産として売る悪徳業者も多くいるようです。プロが見れば甲羅の透明感や肉質に違いが明らかなようですが、素人には見分けは不可能でしょう。信頼あるところで食べるしか手はなさそうです。旬の時期の大ぶりな蟹の価格は日本円で軽く2千円を超えます。たとえばホテルの若いスタッフ達の月給は2~3万円程度というレベルですから、実に月給の10分の1、20万円の給与として2万円に値する高級品です。そうやって考えるととんでもなく高い代物に思えますが、やはり皆これを食べずにはいかないのでしょうか。ホテルはもちろん街場のレストランもこの時期こぞって上海蟹を売り始めます。

上海蟹に関する個人的な思い出なのですが、以前の上海駐在時代に一度、お土産に上海蟹を持って帰国し、東北の親戚を訪ねたことがあります。(ちなみに現在、生きた上海蟹の輸入は禁止されています。昔もそうだったのかもしれませんが・・・)。皆さぞや有難がるだろうと皆の前でご披露、ジャジャーン!。結果、皆まったく感動なし、というか無反応・・・・あれっ?。あとからよくよく聞いてみると、この蟹、以前は東北の普通の川で普通に生息していたものだったそうで、しかも喰うところが少ないのであまり人気がなく、味噌汁の出汁にする程度の代物だったとか。あとあと調べてみましたが、やはり同属の蟹でした(学術的には異なる種の蟹だそうですが)。かたや重宝がって大枚叩いて喜んで食べている地域があると思いきや、味噌汁の出汁くらいにならない地域もありと、随分と扱いが異なるものだと関心するやら落胆するやら。

そんな話はさておき、いよいよ旬が到来した上海蟹、本日初物をいただいてきました。一説には今年の上海蟹、過去10年で最高の生育ぶりだとか。とあるホテルのレストランでご馳走になりましたが、型も大きく味噌も身もたっぷり。何年かぶりの上海蟹と蟹肉入りの点心類を十分堪能できました。みなさんも秋の上海で蟹三昧などいかがでしょうか?

上海は魔都と呼ばれた1900年代の列強の外国人居住地の面影と、中国最大の都市として正に現代中国の“今”を感じることができるエキサイティングな街です。東京から上海まで飛行機でわずか3時間足らず。まだの方は是非一度お越しください。

(この投稿は2011年10月にメールベースで友人知人の方へお送りしたものを一般投稿用に一部編集してお送りしているものです)


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