上海便り Vol.4 月餅の最新事情
友人、知人の皆さまへ
上海も8月後半に入り、大分暑さが和らいできました。9月12日の中秋節を控え街では月餅の販売が本格化、秋を感じ始める風景の一つといえるのかもしれません。
<月餅の最新事情>
中国をはじめとした旧暦の国では、中秋節(旧暦の8月15日)に月餅を食べる習慣があるのはご存知かと思います。伝統的なこの習慣は商習慣にもすっかり根付いていて、有名なレストランやホテルではこぞってオリジナルの月餅を販売し街は賑わいます。味や中身にもさまざまなバリエーションがある月餅ですが、さすが広い中国、地域によっても皮の厚さや硬さなども色々と異なるようで、やはり皆地元の味が一番といって譲りません。安く購入できるということで、上海から少し離れた近郊の月餅業者からの購入をすることとしましたが社内でも結構な反対意見がありました。
オリジナルの月餅とはいっても自社で月餅を作っているところはかなり少数で、大抵が外部の業者さんを利用してのものです。また月餅そのものの味や品質よりもパッケージや箱自体の豪華さで競うようなところもあり、多くのホテルでは月餅の原価としては100元に満たないものを豪華な箱で装飾し200~400元程度の高値で販売しています。明らかに箱の方にコストをかけているものも多いくらい。日本のお歳暮やお中元みたいな感覚で、普段お世話になっている方へ個人的に配ったり、会社や工場などでは従業員に配ったりと用途は色々ですが、何よりも面子を大事にするお国柄ですので、やはりこういったものに対してもかなり見栄っ張りなところが見え隠れします。そのあたりを上手くついた販売戦略が取られており、なるほどなぁと関心させられます。この習慣は今後も続いていくのでしょうが、それでもやはりこういった伝統的な習慣は時代とともに流行り廃りがあるもので、以前に比べるとかなり消費量は減ってきているような話をちらほら聞きます。
さて、「月餅の最新事情」などという見出しをつけましたが、ここ数年、この伝統的な習慣も外資の影響を受けているようです。例えばスターバックスのようなコーヒーショップでも洋菓子風の月餅を販売していますし、アイスクリームのハーゲンダッツが販売するアイスクリーム月餅などは特に若い世代には人気のようで、伝統的な月餅では物足りない層へ新しい需要を創設しているようです。今後、さまざまな業態からこの月餅マーケットに参入してくることは間違えなさそうです。月餅とは丸いものという既成概念も段々と薄れてきるのかもしれませんね。
先日、開業1周年を迎えた当ホテルも今年は本格的に月餅の販売に参入。初年度ということもあって他ホテルに比べるとやや控えめな販売目標で臨みましたが、販売商戦が本格化する8月初旬には概ね目標の販売数を達成してしまい、まずはやれやれといった感じです。今から来年度のことを考えるのもなんですが、少し気楽に競合ホテルの販売状況などを観察できそうなので、来年のアイディアなどを練ってみたいと思っています。来年の販売時には是非1箱ご協力下さい(笑)。
上海は魔都と呼ばれた1900年代の列強の外国人居住地の面影と、中国最大の都市として正に現代中国の“今”を感じることができるエキサイティングな街です。東京から上海まで飛行機でわずか3時間足らず。まだの方は是非一度お越しください。
(この投稿は2011年8月にメールベースで友人知人の方へお送りしたものを一般投稿用に一部編集してお送りしているものです)
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