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日系海外進出ホテル その10 東屋

海外に進出する日系ホテルチェーンの進出状況を紹介していきます。掲載内容は基本的に各チェーンホテルのホームページやリリース情報をもとに解説していきますが、一部の情報は筆者の主観も含まれます。原則、海外展開ホテルの状況に特化していきますが、ホテルの成り立ちなどチェーンの概略情報も適宜加えております。

このシリーズの一旦の最終回は、ちょっと変わり種の「東屋」についてです。

東南アジアにて10店舗を展開

2011年にベトナムで創業、主にベトナム国内に10店舗、カンボジアやミャンマーにも進出実績があります。これまで紹介してきた日系ホテルチェーンの海外進出については、全て、「日本発のブランドを海外展開する」というものでしたが、今回ご紹介する東屋は、最初から海外(ベトナム)で和風ホテルを展開するといういわば変わり種です。ベトナム出張などの機会が多い方には、日本人御用達のエコノミーホテルとして知名度高いでしょうが、一般に日本で生活される方でこのブランドをご存知の方は少ないでしょう。

日本人特化のマーケティやング

露天風呂、和食、日本語テレビ放送などなど徹底した日本人マーケット特化型のホテルです。多くは、ホーチミン、ハノイ、ダナンなどのベトナムの主要都市に生活する出張者、短期駐在者をターゲットに、リーズナブルな値段で宿を提供するという徹底的にマーケットを絞り込んだ戦略です。記事によると日本人比率は実に95%以上とのこと。ここまで明快だと気持ちが良いですね。

東屋が進める教育事業

東屋の一つの取り組みが教育事業です。高度人材ビザや特定ビザを中心に日本の宿泊業に特化して人材紹介をスタート。ただ紹介だけするブローカーや、質を問わず数を送り出すことだけに注力している送り出し機関、また教育費用として多額の費用を外国人人材から搾取する教育機関も多い中、採用・教育・面接・送り出しと全て一気通貫することで良質な外国人(ベトナム人)人材紹介を目指しているそうです。こうした取り組みは、人材不足に悩む日本のホテル業界にとっては非常に貴重な存在ですし、海外初の日系チェーンがこうゆう形での逆輸入を日本に行っているというのはとても評価できる試みに感じます。

海外で日系ホテルチェーンが進むべき道

教育事業に限らず、海外で培ったノウハウや人材を、逆に日本マーケットに還元する。こういった発想は、これまで紹介した多くのチェーンの中ではまだまだ十分に取り組まれているとは言い難い状況かと思います。今回の記事において、一旦、各チェーンの海外進出状況についてのまとめは終了とし、今後の連載の中で、日系ホテルの海外展開におけるキーワード、出店エリア、商品力などについて、別の観点から整理、研究を進めていきたいと考えています。

引き続き宜しくお願い致します。


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