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ジャン・ルノワール『大いなる幻影』について

 これも『クローズ・アップ』と同じく昨年に観た映画だ。なんならAmazonで『クローズ・アップ』と一緒に注文した気がする。

 本作を観たくなったきっかけは、濱口竜介監督の『ドライブ・マイ・カー』を観た時に、劇中で人物たちが演劇のシナリオの読み合わせで、棒読みというか、感情を排した読み合わせを行なっていて、調べるとその手法の元ネタがジャン・ルノワール監督のやり方にあったと知ったからだ(濱口竜介監督も、実際にこの手法を採用しているらしい)。「ルノワール?画家か?」と引っかかったのだけど、本当にあの有名な印象派画家の息子だった。めちゃくちゃ興味が湧き、調べるとジャン・ギャバン主演で映画を撮ってると知り、これは観るしかなかろうと思って、AmazonでDVDを購入した(これも1,000円以下で安かった)。

 時代背景としては、1937年公開で、第二次世界大戦直前のようだ。作品としては第一次世界大戦における、フランスとドイツという敵対国同士の人物の親交を描いてるのだが、これがなんともいい感じだ。『大いなる幻影』ってのは国境のことを指しているらしく、本来地球には国境なんてなかったはずなのに、国の違いで争うなんてどうなんだということを多分扱ってるんだと思うんだけど、これを観ると確かにそうかもなあと思わされる。戦争と人間について、考えさせられる映画だった。

 ジャン・ギャバンが渋くてかっこいいんだけど、シュトロハイムが出演してて、この人も良かった。シュトロハイムって異常なまでの完璧主義者らしく、自身の監督作品では、脇役一人一人のバイオグラフィーまでめちゃくちゃ入念に考えて詰めるらしい。実際、ルノワールはシュトロハイムを崇拝しており、本作の撮影中もアドバイスを求めたら、そのアドバイスがあまりにも無理難題で、ルノワールは泣き出してしまったらしい。はたから聞いてたらおもろいけど、ルノワールは大変やったやろなと思う。

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