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黒澤明『七人の侍』について

 何年か前に1回観たことがあって、今回が2回目の視聴だ。3時間超の映画なので、いざ観るにはちょっとよいしょがいるのだが、観始めるととても面白くて、3時間以上もあるとは思えないくらいすっと観られてしまう。それは、ストーリーが面白いし、俳優も魅力的だし、撮り方も静と動のバランスというか、評定をしたり休んでたりという場面と、戦の迫力満点の場面とのバランスがとてもよくて、飽きずに観られるからなんだろうなと思う。

 登場人物と、演じる俳優がとても魅力的だ。命をかけた仕事をしているのに、よく笑う。その余裕がとてもかっこいい。

 また、自分のためばかりでなく、誰かのために何かをするというのもとてもかっこいい。俺なんかは小さい人間だから、めちゃくちゃ面倒くさがりだし、自分が得になるようなことしか基本やらないんだけど、作中で志村喬が「己のことばかり考える奴は、己をも滅ぼす奴だ!」と言ったり、常に組織のことを考えて気配りをしたり、勝手なことをした者を律したりと、なんか俺に向かって「君、考えを改めなさい。じゃないと先が知れてるよ」と言ってくれているような気がした(ちなみに志村喬は関西大学出身で俺も同じであり、俺の本名にも「喬」の字が入るため、アホな話だが勝手に親近感を感じているのだ)。

 宮口精二が演じる剣客もめちゃくちゃかっこいい。凄腕で人格者なのに、クールで決して威張らない。俺はどんなに頑張ってもこんな人物にはなれないと思うが、友達とか上司にこんな人がおったら素敵やなと思った。

 世の中にはたくさんの自己啓発本やら自己啓発動画やらが溢れかえっている。それらは分かりやすくストレートに「こうするといいよ」と教えてくれる。それはそれで素晴らしいコンテンツだと思う。しかし最近の俺は、こういう映画やら小説やらを観たり読んだりして、多分こういうメッセージがあるんちゃうかとか、この人物とか出来事に対して俺はこう思うなとか、自分なりに考えて解釈することも大切なんやろな思っている。そういう意味では、本作はたくさんの考えるきっかけを与えてくれる映画やなと思った。

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