ドコモの完全子会社によってもたらされるモバイル市場での競争について
29日になって間もなく、ものすごいニュースが飛び込んできていましたね。
NTTドコモが完全子会社化になると。
料金の値下げ指示が背景にあると会見まではネットで噂されていましたが、骨子はまあそんなちんけなレベルの話ではなかったですね。
ですが、モバイル市場における通信料金の値下げについては、結果的に大きな財政基盤をもって値下げにつながるだろうと会見では回答がありましたね。
資料をそれぞれ置いておきます。
これから話すドコモショップを基軸とする一般消費者向けのビジネスについて今後行われるであろう取り組みについて参考になる組織図も。
NTTドコモが目指していたビジネス
これは、会員基盤を使ってLTV(Life Time Value)の最大化をはかり成長をしていくこと。
多分、子会社化となる今後もコンシューマ向けのモバイル市場についてはここが重要であることは変わらないかなと思います。
既存のサービスも含め5G通信網のシェア拡大につれて迅速に多様なニーズに合わせたサービスをリリースしていく必要があります。
少し話がそれますが、5Gとかいろんなサービスを要らないっていう人、いますよね。ちょっと前の話だと毎月お金を払って使うサブスクリプションモデルとかスマホ自体を持つこととか。今じゃほとんどの人がスマホを持っている或いは触れたことがあるし、YouTubePremiumやNetflix、AppleMusicとかって結構な人が利用しているじゃないですか。5Gやそれらを使った端末やサービスもそのうちそんな感じになるんじゃないかなと思っています。
話を戻しますが、モバイル市場で生き残るためには解約率を低い水準で保つとともに、乗り換えをはじめとする新規ユーザーの獲得をしていきシェアを拡大することが必要ですよね。(ドコモ的にはMNP,乗り換えはポートイン)
それらのサービスは解約率を低下させること、仮に解約されてもサービスは継続されることで接点を持つこと、サービスとシナジーをもとにモバイル市場でユーザーを得ること。そのあたりに繋がってきます。
料金の値下げ指示、或いは競争によってモバイルARPU(KDDIはARPA)が下がるのは仕方がないが、LTVを最大化することで囲い込みを強化し、安定した収益を確保していくことは今後においても重要となるでしょう。
だいぶ前から言われていることなんですけどね。キャッシュバック合戦があった時にはどこのキャリアもサービスはお飾り程度ですぐ解約していいっすよみたいに見向きもしていなかったところです。
つまり、各キャリアにおける販売代理店にとっては色んなサービスがまたまた出てくるし、キャリアは今以上にそれらのサービスを使ってもらう販促をしてよねって言ってくるわけですね。
今後、仮に料金の値下げが実現したとして来店したお客さんは料金がやすくなるかなあと来るわけです。
でも受付をする側としては色んなサービスはいってくれないかなー、家族とか乗り換えしてくれないかなーって思うしかない現実。
いつの時代も抗いようがない軋轢が存在するのが通信業界です。
ある時は割引のために入って欲しいです、1か月くらいでやめていいですよって言ってたのが、またある時は本題そっちのけでその当時やめていいよって言ってたサービスをゴリゴリに押してくる人もいるでしょう。
ちょっと怖い。
過去にiPhoneの取り扱い有無をはじめドコモから大量に他社へ流れた消費者の戻りがなぜ鈍いのか。背景を考えたうえで行動できない代理店にとって今後非常にキツい未来が待っていると思うと部外者ながら少し胸が痛みます。
これはドコモに限らずソフトバンク、auも同じことが言えます。
論理的に何を考えてどういう行動をしたら良いかということはあるんですけど、今日はドコモの話なのでモバイル通信事業のうちドコモショップにおける課題を1つ書いておきます。
MNPがもたらす競争力
僕はサブブランドも現存しないキャリアも含めて複数のキャリアの事情をうかがい知る立場に居ましたが、ひいてはドコモショップにおいてはシェアを拡大するための競争力が足りないところがすごく多いと感じていました。
はるか昔のことは分かりませんが、僕が勤め始めた頃はモバイル市場において過半数を超える6割以上のシェアをドコモが保有していました。ソフトバンクおよびKDDIや当時で言うイー・アクセスやウィルコムなどはどうにかしてドコモからユーザーを奪いシェアを拡大するための方法を日々模索していました。
言い逃れしようのない思いっきり真っ黒なやり方から少しグレーな方法まで、良い悪いは別としてユーザを獲得するという意識においてはドコモよりも思案して得た営業力は明らかに高いです。
現在のシェアが4割台となったドコモがこれからモバイルや固定とのシナジー、スマートライフ領域をはじめとしたLTVを最大化しユーザーを取り込むにはそれらの営業力が不可欠です。
少しドコモを擁護するようですが、不当にユーザーの自由を阻害するほどの強い解約抑止をドコモは行っていませんでした。その結果が現在のシェアでもあるとも感じますが、かといってユーザーを取り込むために必要なプロセスにおいてドコモ側が長けていたという訳でもありませんでした。
押し売りまがいにお金を積んでユーザーを奪い合っていた時代から付加価値をもってユーザーを囲い込む、呼び込む流れへとシフトしているのが現在の流れです。
各キャリアについてショップが消えるということはないだろうと思います。
当時お金を積んでとにかく数字を上げられた人が現在上にいるという構図の代理店がほとんどだと思いますが、現在というか少し前から存在している流れを正しく理解して、どこに注力をすべきか、その成果はいつまでに得られることが望ましいかを見据えられる代理店とキャリアが真にユーザーにとって有益なサービスを提供しシェアを得る立場であればよいと思います。
エンドユーザーとの接点がある現場の方々へ、心中お察しします。
今以上に矛盾に溢れた締め付けが訪れないことを切に願っております。
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