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Episode 48 できないことが不安です。

私が小学生のころ…今から40年近く前の話です。
このころ、プラモデルを作るってのは男の子の趣味としてはワリと定番でした。
ガンダムのファーストシリーズが1979年、小学校の高学年時代にガンプラがブームになる、丁度そんな時代の話です。

ランナーから外して説明書通りに組み立てればキチンと出来上がるワケですが、接着部分の仕上げや塗装・シールの貼付け等で作る人の「腕」が分かるわけで、如何にキレイに作るかってあたりでかなり燃えました。
なんたって、完璧主義ですから

良く切れるプラモデル用のニッパ、バリ取り用のヤスリ、キチンと接合部を処理するためのパテに塗装用のアクリル塗料…。
少ない小遣いで道具を揃え、黙々と制作にあたったものです。
みんなが興味を持つものと、自分が出来る方向性が一致しているのは楽でした。
プラモデルがあれば、そこを媒体にして人と繋がれる…。

その一方でゲーセンが流行った時代でもありました。
インベーダーゲームやパックマンが大流行したのです。
私はこっちが大の苦手。
そもそもプラモデルの方に小遣いを投入している都合、ゲームにお金を回せません。
更に言ってしまえば、私にはたった数分の形の残らないゲームをするためにお金を投入する意味が分からないのです。
当然ですが、ゲームの腕前が上達するはずもなく…。

その当時の子どもたちは、その日の状況で遊びを変えていたんだと思います。
昨日はプラモデルで今日はゲーム、明日は野球にしようかな…。
上手にできるものは上手で良いし、できないものはそれなりにで良いハズですが、そうならないのがASD的な思考です。
ゲームや野球、周囲より上手くできないものは、次第に敬遠するようになります。
形がないものが理解できない、それ故に上手くもならないのです。
人よりも劣ることに恐怖を感じる…完璧主義が邪魔をするのです。

ASDの子が空気を読まずにペラペラと得意な話をするって良く聞く話ですが、自分の興味のある分野をペラペラと喋り倒すのは、周囲と繋がりたい意識の表れなんだと思います。
これなら会話に入れる、そこから違うところに話題が流れていかないでほしい…。
出来ないことへの不安感が、出来ることへの執着を強くしたんだと私は思います。

ひとりでいることが多いASDですが、ひとりが好きなわけではなくて、そうなってしまうことが多いのです。
繋がりたい気持ちは、たぶん誰でもが持っていることだと思うのです。

旧ブログ アーカイブ 2018/11/1

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