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アンプを用意するのです。

久しぶりに自助会に関係したお話を。

先ず、このポストの用語解説から。
「自助会フェスタ」とは、大阪を活動拠点とするNPO法人「いきいきムーン」のしーやん(@superseeyan)さんを起点にする、発達障害者の自助会からスタートした「ニューロダイバーシティとインクルーシブ社会を目指す取り組み」…とご理解いただいたら良いかと思います。

私が私の主催する自助会をスタートさせて、今年の4月で丸5年が経過します。
その重ねた5年間で、参加される方々との会話を通して「私なりに」知見を広げられたように思います。
その一方で、いつもどこかに「一本のロウソク」のような寂しさを感じていたようにも思うのです。

ビーコン(Beacon)
注意を引き付けるために意図的に設けられた場所。
原義は狼煙や篝火といった位置と情報を伴う伝達手段のことであり、注意を引き付けるために意図的に設けられた場所。
代表的な例として灯台が挙げられる。

wikipedia「ビーコン」より

イロイロな意見があるのだと思いますが、「ビーコン」という表現がわかりやすいかな…と。

実は私、大阪市民だったことがあります。
1999年8月~2002年3月までの約2年半、阪急新淀川橋梁と地下鉄御堂筋線新淀川橋梁、それにJR梅田貨物線に囲まれたあたりでひっそりと。
大阪の街は、どこにでも「商店街」があってね、それぞれ違う味わいが…なんて、私が解説するまでもありませんよねぇ。
初めてジャンジャン横丁を通って動物園へ向かった時の衝撃は忘れられませんもの。
そのくらい、大阪の街には人を惹きつける「ビーコン」が多かったと感じています。
多くの人が行き交い、そこで見聞きして味わったものを誰かに伝えることを繰り返すことで文化は広がり、その伝え聞いた興味が、街や店が発する「ビーコン」をキャッチさせる原動力になる…と。

wikipedia の解説にある通り、「ビーコン」の本質は、注意を引き付けるために意図的に設けられた「仕掛け」にあります。
ただね、その仕掛けを拡張させるためのアンプリファイア (amplifier=増幅器) があるのとないのでは、「ビーコン」を発見(キャッチ)できる確度が変わる…その行き交う人の密度こそが「ビーコン」をキャッチさせるアンプリファイアという仕組みであるのだと思うのです。

私の住む新潟という街には、信濃川に架かる国指定重要文化財「萬代橋」を挟んで信濃川右岸側に万代シティ、左岸側に古町という商業地域があるのね。
街の歴史は圧倒的に古町地区の方が古く、新潟湊の廻船業から発展した商店街の最盛期には、2軒の百貨店を含む多くの専門店が軒を連ねていたのです…が、モータリゼーションが進む中で古町の形態は次第に古くなってしまい、後発の万代シティに取って変わられる形になったのね。
その万代シティもまた、郊外型の大手量販系の商業施設に客足を奪われて苦戦中…。

人通りの疎な商店街の発信力は弱く、それはあかりを灯してもそれを増幅させる人の行き交う密度の低さと大きく関係しているのだろう…と。
大都市である大阪と、中堅地方都市である新潟の差は、つまりこの人口という「ビーコン」を増幅させる原動力の差である…は、一理あると思うのね。
コレは商店街の例に限らず、自助会の発信力にも同じことが言えるのだろう…と。

粘り強く、地道に淡々と、それを見つけて参加するかを考えてくれるかは、継続することによって道が拓れる、その考え方はわかるのよ。
でもね、人口という天然のアンプリファイアをたくさん持ち合わせている都市部と同じ手法が地方で可能なのか…と問うた時、ロウソクの炎を持ち続けるだけで本当に道が拓けるのか?

だからこそ、地方都市には「人工的なアンプリファイア」が必要なのかもしれない…と。
古町地区の商店街では「古町どんどん」や「新潟 JAZZ STREET」と言ったイベントが行われ、大和新潟店跡にできた「古町ルフル」のオープンテラス(ルフル広場)では、毎週のように何かしらの催し物があるのね。

地方にもね、必ず自助会を必要とする人はいるのです。
それは私の経験から、間違いがない事実です。
だから地方にも、当事者や支援者の行動できる手が届く範囲に自助会があって欲しい…と、思うのです。

そのために必要なものは「ここにあるぞ!」を知らしめる「ビーコン」なのかも知れない…と。

人口という「天然のアンプリファイア」を用意できないのなら、イベント(に限らず)という「人工のアンプリファイア」を使うのもアリ。
私は最近、そんなことを思っているのです。


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