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Episode 507 氷の城の希望です。

雪が舞う本州日本海側の政令指定都市で、私が主催する今年一回目の自助会が開催されたのは1/17のこと。
私が主催する自助会は基本的に「雑談会」でして、障害に関係することしないこと、何でもアリで話すことが目的…普段は表に出せない「障害」を抱えていることをオープンにして話すことで「気持ちを軽くする」ことが重要なのだ…というコンセプトなのです。

その辺のウンチクに関しては既に1年ほど前に書いているので、過去記事を読んでいただくとしてですね、今回の自助会の話題になったのは、「障害を認めるとは?」ということだったのですよ。

ディズニー・アニメ映画の傑作『アナと雪の女王』に登場するダブル・ヒロインのひとり「エルサ」は「生まれながらに雪や氷を作り出す魔法の力」を持っていて、これをひたすら隠して生きてきた…というのはご存知の方も多いハズ。
映画のあらすじを追っても仕方がないので割愛しますが、エルサが主題歌 "Let It Go" 歌いながら「幼少期以来ずっと抑えられてきたハンディキャップから解放され、何にも恐れずに魔法が使えることを歓喜し、氷の城を築城する(Wikipediaより)」場面は、主題歌のヒットと合わせて誰もが知る名シーンなのです。
私のイメージする自助会とはね、このエルサが作った「氷の城」なんですよね…自らの姿を隠さずに "Let It Go" でいられる場所という意味で。

物語はその後…エルサが自らの力を制御する方法を覚えて、国に帰って大団円なのですが、これが私には「マイノリティが自らを認めて生活する理想的な姿」に見えるのです。

エルサの行動から見えるステップは3つ…。
1.城の部屋に閉じこもって心を閉ざすエルサ。
2.自らの能力を解放して自分を認めるエルサ。
3.自らの能力と折り合いをつける方法を探し、覚えて、能力とともにみんなと共存する道を歩くエルサ。
重要なのは、2つ目のステップを踏むことだったのではないか…と。

自助会で話題になったのは「マイノリティである私を認めて!」…と周囲に要求している内は、きっと何も解決しないよね…ということでした。
つまりね、私がマイノリティであるという線引きをしているのは私自身だということ。
でも私がマイノリティである自覚は必要なのですよ。
そのためには能力の解放が必要で、解放できる場所が必要で、解放するからこそ制御すべき部分が見えてくるワケでして…。

「私、発達障害なんだよね」というカミングアウトで、「大変ねぇ…」とか「そんな風に見えないよ」とか…そういうリアクションの言葉に違和感を感じるのは、マジョリティのあなたとマイノリティの私の間に「ライン」があるからだと思うのですよ。
あなたと私の関係がフラットなら、おそらく私の「私、発達障害なんだよね」という言葉を、あなたは「そうなんだ」という一言で片付けるでしょう。

『アナと雪の女王』では、物語のエピローグで国に戻ったエルサが雪だるま「オラフ」に対して、そこだけ冬を提供するシーンが描かれます。
そこには「エルサが自分に対して」も「周囲がエルサに対して」も、マイノリティの自認他認があってなお、劣等感を感じさせる描写は存在しないのです。
物語の冒頭で描かれる「能力を隠すエルサ」とは好対照に描かれるワケですよ。

自分の障害を認めるためには、障害を制御せずに解放する空間が必要なのだと私は思います。
己を知った上で、どのように共存するかを考えることが大事なのだと思います。

私は自分が主催する自助会が、エルサの作った「氷の城」であって欲しいと、そう思うのです。

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