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SixTONES の Strawberry Breakfastはなぜこんなに刺さるのか

SixTONES(ストーンズ、と読む)、かっこいいですよね。

大ファンというわけではないんですけど、よく聞きます。特に『マスカラ』は一日に十回ぐらいリピートしている気がします。笑

で、SixTONESの三か月ぐらい前の新曲が、Strawberry Breakfastと言うのだが

これもとっても好きです。

でも、なんか今までの男性アイドルに思う「カッコいい!」的なあれとは、どこか違う感覚の「良さ」を聞いていて感じた。

その感覚って何なのか?どうしてこの曲はこんなにも私の心に刺さるのか?というのをつらつらと書いていくのがこの記事です。

まあ結論から言えば、「ファンを主人公にしてくれる」のが、この曲の特別!スペシャル!なところだと思うのですぽよ。

1.振られまくる大男たち

まずMVを見てみよう。(もしよければこの記事の上から、ようつべに飛んでみてね!)

華やかでキラキラした最高のMVなんですけど、ちょっと不思議なところ、引っかかるところがありませんか?

つまり、

あり得ないぐらい格好いい6人が、なぜここまで振られまくるんだ…?

と思いません?

ここでちょっと考えてみるわけだ。

もしこの6人がすいすいと女性と手を繋ぎ、さあ素敵な夜を過ごしに行こうぜ!という展開になったら我々はどう思うのじゃろうか。

多分、「わー6人とも最高にイケメンだし、そりゃお声がけしても答えてもらえるよなー」と思うよね。

そして、それだけで終わっちゃうのだ。

つまり、見ている私たち=ファンの立場がゼロなのです。うんうんそうだね、で終わってしまう。見ているだけ。

でも、この苺朝食は一味違う展開を持ち込んできます(以下、Strawberry Breakfastは「苺朝食」と表記します)。

このMVは、アイドル6人が続々と振られていくのです。なんで!?こんな男前なのに!?What do you mean~♪と思うぐらい。

でもこの次々振られる様子が、きっとMVを見る側にとっての鍵。

この様子、つまりファンにとって宝石ばりに輝く彼らが清々しく玉砕していく様子は、「女性を前にあっけなく振られる、よくありがちな人」を表現しているわけです。

しかも、振られた後は結局、6人で楽しそうに肩を組んで街を歩いていく。

これはまさに「あー振られちゃったよー!なんか食いにいこうぜ!」的な、楽しそうな男友達どうしの光景。

この一連を見た人がもつ感想は「わー○○君カッコいい!!」的な恋に近い感想ではなくて、むしろ

「えっ!振られてんじゃん!www」

というような、びっくりとおかしさがミックスした感想です。

どうです?彼らに笑いがこみ上げるような親しみを覚えちゃったりしません?(私はそうだ)

この振られていく様子を見ている人=ファンは、その過程でメンバーとの距離をちょっと縮めているのです。

でも、その距離の縮め方は、男性アイドルがよくやるような

「お前をさらっていくぜ…」的なあれではなく

「俺振られたんですけどー!」「えー!ww」みたいな、ファンが男でも女でもいい、男女に収束していかない、心地いい距離の縮め方なのです。

2.大男たちをいとも簡単に振りまくるレディ

SixTONESが「女性を手に入れる男性」ではなく、「女性に振られて、友達と笑いあう男性」を体現していて、だからこそ彼らとファンの間には独特な近さができる、ってことは書いた。

次は、MVに出てくる、赤いドレスのレディを見てみよう。

くっきりした眉と強い瞳が印象的な、いと美しきレディ。

彼女は、私たち(=MVを見る側)を体現しているのではないかな?と思います。

というのも、彼女はジェシー君に始まり北斗くんまで、次々とメンバーに遭遇しますよね。

これは私たちも同じことで、私たちもMVを見ながら

「この人はこんな風にバラの花束を差し出すんだ!あの人はこんな風に近づいてくるんだ!」と、次々に6人に「出会って」います。

このMVの構造からして、赤いドレスの女の人=MVを見ている私たち、という風に同化していくのです。

そして、赤いドレスのレディ(≒私たち)は、メンバーたちをすいすい振っていきますよね。しかも、いともあっけらかんと、自信たっぷりの笑顔で。

ここで私たちが見ているのは、はつらつとしてカッコいい女性像です。まさに「主役」って感じの女性。

MVを見ている私たちは6人と出会い、自然にこの女性に自分自身を投影していく途中で、彼女の威風堂々さもまた自分に投影していくのです。

レッドカーペットをヒールで歩き、笑顔で男性を断る颯爽とした女性を自分が自分のように思えてくる。

だから苺朝食を見ていると、男女問わず「よくわかんないけど、自分今主役なのでは?」感を感じるわけです。

3.「主演女優賞をあげる just for you」

最後に大事なのは歌詞。

歌詞によって、「自分、今主役です」感が圧倒的に高まる。

もうこれはね、ほんまに素晴らしい歌詞なんよ…。

Strawberry breakfast 世界が恋する
Heroine に最高の kiss を just for you
君が居れば僕の朝 名場面に変わって
I love the way you are, oh yeah

歌詞に出てくる「君」は紛れもなく聞いている私たちのことですが、その私たちを「世界が恋する Heroine」(Heroと読み変え可能!)と呼んでくれている。

「世界が恋するHeroine」って言われると、なんだか自分は自分の輝きに気づいてなかったんじゃないかって気がしてくる。なんて言っても、世界が私に恋するんだからさ。

そして「I love the way you are」(君のその感じが大好きだよ)という全肯定ワードで、持ってもいなかった自分への自信が、少しずつ溶け出していくわけですよ!!

これがいいのですよ!!「I love you」ではなく「I love the way you are」なことで、単なる「君を愛してる」ではなくて(どこを愛してるのさ?という具体性に欠けてる言葉なんだね)、ありのままの自分がはっきり肯定されてるんだって思えるから!!

Strawberry breakfast 今世紀中最大の hit 
主演女優賞をあげる just for you 
何気ない日々の全てが 名作に生まれ変わる 

「今世紀中最大のhit」は、私たちがそれぞれ生きているハードモード人生を映画に見立てて、「君の人生、今世紀中最大のヒット作だよ!」と言葉をかけてくれているように感じます。

で次に、「主演女優賞をあげる just for you」という殺し文句がやって来るのだ…(もちろんここは、主演男優賞と読み変え可能ですとも)。

この言葉が、一番聞いている人に刺さるんじゃないかなあ?

SixTONESがここで歌っている「主演女優賞」とは、例えばアメリカの委員会が評議して授与するような、そんな主演女優賞とはわけが違う。

そんなんじゃなくて、紛れもないSixTONESが私たち一人一人にプレゼントしてくれる、世界に一つのスペシャルな「主演女優賞」なのです。

上手く行かない、我慢することがたくさんある、そんな日々を「最大のヒット」と呼んで主演女優賞まで渡してくれる曲、それが苺朝食です。

4.また会おうね!

しかしそんな最高のMVを見たあとでも、私たちはそれぞれの人生に戻らなきゃいけない。あーやだやだ、働きたくない税金払いたくなry

でも別れ際にもちゃんと、素敵な歌詞を手渡してくれるのが苺朝食なんだなあ…

I wear a black suit, door を開け see you later

サビ終わりのこの歌詞は、「ブラックスーツ着て待ってるよ、じゃあまた後で会おうな」的なノリでしょうか。

ブラックスーツを着て夜の街を歩く彼らに再会するのは、すなわち、また私たちが動画サイトでMVを見るとき。

その時にまた会おうな!と約束し、曲を聴き終わってこれから日常に戻る私たちを「今世紀中最大のヒットを生きる主演女優」として送り出してくれるのです。

優しさよりも尊敬を

結論すると、苺朝食が今までのアイドル曲と一線を画す理由は

1.SixTONESの立ち位置が下がっている(彼らは誰かを誘惑する一方的な主体ではなく、あくまで6人で街を歩く主体)

2.聞く側の立ち位置が上がっている(ファンは誘惑され篭絡される客体ではなく、自分の人生を生きる主体)

の二点じゃな(カッコ内はちょっと難しく言ったバージョン)。

例えば「愛してる」という言葉は真摯な言葉だけど、その一方でどこまでも一方通行な愛情・優しさであることは免れ得ないんだよね…。

でもこの曲は「お前マジカッコいいよ!」と、尊敬でもって聞いている側を肯定してくれる。

この、MVと歌詞の(上から下)でも(下から上)でもない構図、これがええんや!!!



にしても、苺朝食ってどういう意味なのだろうか…。

breakfastは「断食を壊す」って意味だし、そこからもこの曲の「何か素敵なことが始まる」感、というか爽快な感じも出ている気がするけど、これはこじつけかな?

とにかく、苺朝食はいい。日々を生きるあなたに、賑やかに声援を送ってくれる曲。

私も、明日の準備やるぞー。なんてったって、主演賞くれるってSixTONESが言ってるんでね!