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脇本平也『宗教学入門』を読む

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臨床スピリチュアルケア師の認定試験の課題図書の一つ『宗教学入門』をまとめてみました。試験前の復習にお役立てくだされば幸いです
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脇本平也『宗教学入門』を読む 第27回

脇本平也『宗教学入門』を読む 第27回

第七章「宗教的人間観」

4「宗教的人間の目標とその実現」
理想がはっきりすればするほど、それとは程遠い自己の現実が見えてくる
宗教的苦悩の源泉

自分自身が分裂する(理想と現実のはざまで)、しかし、理想に到達する可能性を秘めている
また、その一方で、理想から遠ざけている原因が自己の内にあるとも考える

可能性と限界性、理想と現実、目標と現状
キリスト教の「義と罪」
仏教の「悟と迷」

身近なのは

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脇本平也『宗教学入門』を読む 第26回

脇本平也『宗教学入門』を読む 第26回

第七章「宗教的人間観」

3「自己の問題」
人間の二元的構造
肉と霊、罪と義、迷と悟、闇と光などの表現がある
現状とあるべき姿、理想と現実

人間をどう見るか?という問題には、自己がどう主体的に生きるのかという問題を含む

【霊魂観】
自己=霊魂とする見方がある
人と人、人とモノの出会いは、霊と霊の交わりと考えられる(アニミズムともつながる)

神霊を前提とすることによって、シャーマニズム(神がか

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脇本平也『宗教学入門』を読む 第25回

脇本平也『宗教学入門』を読む 第25回

第七章「宗教的人間観」

2「人間の二元的構造」
土の塵でありつつ、神の息である
肉体と霊魂

キリスト教だけでなく、さまざまな宗教においても、肉体と霊魂という考え方が共通してある。
肉体と霊魂が結合して人間は存在している。
多くの場合、肉体は穢れ、迷い、罪、死などが属するものと考えられ、神の赦しによって浄化され、禁欲的な苦行によって乗り越えられるべきものと考えられている。
霊魂が肉体に閉じ込めら

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脇本平也『宗教学入門』を読む 第24回

脇本平也『宗教学入門』を読む 第24回

第七章「宗教的人間観」
実在と出会い、それを受け止め生きていくのは人間である。したがって、この章では宗教的人間観についてみていく

1「人類起源神話」
どんなことであれ物事の起源に対する関心は知的営みの最初に位置する傾向があり、人間の存在の起源についても原始宗教・古代宗教のほぼほぼ例外なくみられる。

普遍的な問題

多くの場合は、死の起源についても触れている。つまり、生と死の起源について言及して

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脇本平也『宗教学入門』を読む 第23回

脇本平也『宗教学入門』を読む 第23回

第六章「宗教的実在観」

4「神と法」(第六章のまとめ)
実在観①人格的神、②非人格的法

人格的神:絶対性・超越性を理論的に徹底していくと無相の神という性格を帯びる。抽象化が進むので、非人格的法に近づく
非人格的法:人格のうちに具現化される局面に焦点をあてて、その人格の優越性を強調していくと、有相の超人間的な諸仏・諸菩薩となり、人格的神に近づく

人格⇔非人格、神⇔法、有相⇔無相は連続性のあるス

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脇本平也『宗教学入門』を読む 第22回

脇本平也『宗教学入門』を読む 第22回

第六章「宗教的実在観」

3「非人格的実在の観念」

【マナ的力】
メラネシア先住民における非人格的・超自然的な力の観念に対する名称
マナ的力は人生の吉凶禍福を左右する根本的な作用として実在

似たような概念は世界各地の民族にもみられる
アメリカ・インディアン諸族の「オレンダ」・「ワカン」
インドネシアの「メナング」
マダガスカルの「ハッシナ」
日本の「イツ」(という説がある):厳島神社の「イツ」

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脇本平也『宗教学入門』を読む 第21回

脇本平也『宗教学入門』を読む 第21回

第六章「宗教的実在観」

2「人格的『神』の観念」
神を信仰する宗教が大多数

岸本英夫による「神概念の特色」
①神とは超自然的な、一個独立の、個体的な存在である
②それは、一般的な人間とははっきり異なるが、人間の心を理解する能力をもっており、人間との間にさまざまな形での交わりをもつという意味で、人格的である
③この人格的な存在が、おおむね人間以上の強力な力と自由な意思とを所有しており、そのはたら

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脇本平也『宗教学入門』を読む 第20回

脇本平也『宗教学入門』を読む 第20回

第六章「宗教的実在観」
ここからは、第五章でアウトラインしたものを一つずつ詳しく深くみていく
特に次の3章(6, 7, 8)は、宗教の思想的側面を実在観、人間観、世界観に分けて考察する

1「実在観の諸相」(第五章のイントロ)
それぞれの宗教における「根本概念」、真実の存在・理法、究極的な根拠、最終的な拠り所
キリスト教の「神」、原始仏教の「法」
これらの説明、信念体系を「実在観」という

人格的

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脇本平也『宗教学入門』を読む 第19回

脇本平也『宗教学入門』を読む 第19回

第五章「宗教の構成要素」
4「宗教集団」
5「宗教体験」

4「宗教集団」
教義や儀礼を世代を超えて伝えていくためには、集団が必要
集団で行う儀礼はもとより個人で行うものも、誰かが後世に伝える役を担わなければならない

宗教集団の構成要素
①教義的イデオロギー的要素(信念や思想、教義、イデオロギー)
②儀礼的行動様式(儀式、儀礼、行動様式)
③人的成員組織(役割、役職、司祭、リーダー、平信徒など)

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脇本平也『宗教学入門』を読む 第18回

脇本平也『宗教学入門』を読む 第18回

第五章「宗教の構成要素」

3「宗教儀礼」
一般的な定義「宗教的な目的を実現するために一定の形式・順序にしたがっておこなわれる象徴的な行為の体系である」

①「宗教的な目的を実現する」宗教的に意味づけられた目的の実現を目指して儀礼を執り行う
例:信仰対象として神との交わりをもつ
  宇宙の根源的な理法を悟る
  宗教的理想と合致した自己を実現する

②「一定の形式・順序にしたがって」厳粛な規律ある

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脇本平也『宗教学入門』を読む 第17回

脇本平也『宗教学入門』を読む 第17回

第五章「宗教の構成要素」

2「宗教思想」
教義と表現したが、もっと幅広く「宗教思想」「宗教的信念体系」として考える
人間の本質として、「考える」という働きがあるが、「考える」ことが表現されたものとして、宗教思想・信念体系がある。

内容と形式の二つの側面から考察。

【内容】
人間の考えることすべてが含まれるだろう。ただ、大きく3つに分けることができる
①人間観
②世界観
③実在感

①人間観:

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脇本平也『宗教学入門』を読む 第16回

脇本平也『宗教学入門』を読む 第16回

第五章「宗教の構成要素」

1「教義・儀礼・教団・体験」(序論)
日常的に「宗教」と言うとき、何を意味しているのだろうか?

例えば「宗教を信じています」

【教義】
教義を指している(神の贖罪による救済、四諦八正道による解脱など)
聖典・経典など
体系的な教義(神学や宗学など)
これらの教えを、自分のものの見方や考え方、生き方とする
こういったことをひっくるめて、「宗教を信じています」と言ってい

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脇本平也『宗教学入門』を読む 第15回

脇本平也『宗教学入門』を読む 第15回

第四章「宗教の諸類型」

7「宗教進化の五類型」
アメリカの宗教社会学者ベラーが新しい角度から宗教進化について論じた。
進化=分化、複雑化。進歩とは区別される(いいように進んだか悪いように進んだかは判断されない)

進化の5段階
①原始宗教
②古代宗教
③有史宗教(現世拒否のキリスト教、仏教など)
④近代宗教(西洋のプロテスタントがモデル)
⑤現代宗教

これらを4つの局面で分析。
A. 思想的な

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脇本平也『宗教学入門』を読む 第14回

脇本平也『宗教学入門』を読む 第14回

第四章「宗教の諸類型」

4「汎神的宗教」
5「救い型・悟り型・つながり型」
6「民族宗教と世界宗教」

4「汎神的宗教」
無神教的か有神教的かでは語れないものがある。たとえば、キリスト教的な神秘主義。「神と私が一つである」をすべての人類が(あくまで可能性として)神性を宿している。仏教的には、「仏性」を宿しているということになる。であれば、キリスト教=有神教的、仏教=無神教的という言い方が妥当では

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