見出し画像

230328 花見モーニング

桜の季節になると、やっぱりうきうきしてしまう。
しんみり、という見方もあるが、私はどちらかというと心が躍る方だ。
桜の木を改めて観察すると、あれだけ立派な木々が、その姿にそぐわない小ぶりで可憐な花を一面につけるのは何とも不思議である。
じっとその付き方を見て、どの角度から見ても美しいのだなあと感心してしまう。自然の産物はなんとも魅力的だ。

満開予報が出たのは昨晩だった。
そうか、今年は天気に恵まれず花見シーズンはこのままおしまいだな、なんて思っていると、夫が明日は在宅だから朝お花見しよう、と誘ってくれた。我が家の近くには大きい公園があり、これでもかというほど桜が植えられているのだ。想像するだけで明るくなるお誘いである。
そんなわけで昨晩は夜更かししたいところを堪え早めに就寝し、今朝準備もそこそこに公園近くのパン屋へと下ごしらえに向かった。
パン屋は7時から開店しており、毎度ご苦労様ですと言いたくなる。こんな平日の朝から買う人いるのかい、と心配するが、店内のカフェスペースはほぼ満員状態だった。なんとも優雅な方々がいたものだ。
春らしい何かを食べたい、と思いつつまず目に入ったラムレーズンベーグルを選ぶ。ラムレーズンと書かれると大抵購入してしまう質である。
夫もソーセージと書かれたパンを選ぶ特性を持っているため、特に変わり映えの無い、いつものパンを選択してしまった。
追加でコーヒーを一つだけテイクアウトし、お目当ての公園へと向かう。途中、駅へ向かう人々と逆行して歩いていることに気づき少し優越感を感じた。

そういえば、いつか「駅まで来たけどやっぱり引き返そう」という休み方ができないかと夢見ている。かれこれ8年ほど空想している気がする。が、未だに実践したことはない。別に休み辛いわけでもないのに、駅まで行って引き返す、という選択肢を選ぶほど大きなきっかけがないのかもしれない。それこそお花見を理由に休んでもいいと思うんだけど。

話が逸れた。公園は、犬の散歩をする方やランナーがちらほらいるものの、いつもより人気が少ないようだった。そりゃそうか、平日のこの時間だもんな。そんなことを言いつつ、空いているベンチに腰掛け、さっそくパンの袋を開ける。
外で食べる食事ってなんでこんなに魅力的なんだろうか。
朝日のやさしい暖かさを感じながら、ラムレーズンの甘さが口にじんわりと拡がり、一生食べ続けられそうだと至福の時間を過ごした。まあ、実際食べ終える頃にはちょっと吐き気を催していたが。
朝からガツンとパンチのあるものを食べることがほとんど無くなってしまったため、貧弱になってしまったのかもしれない。すぐさま口直しに塩っぽい総菜パンを食べ、後は池に泳ぐ鴨を眺めながら最近の仕事の状況や子どもが生まれてからの働き方などあれこれと雑談して過ごした。
無事産まれたらだけど、あれこれ考えないといけないよなあ、と二人でぼやく。
それから30分ほどのんびり過ごし、桜並木を散歩して帰宅。やはり桜は綺麗だった。来年こそ引き返すパターンで1日かけて花見したい。

日の光を浴びて歩く(運動する)だけで、その日の仕事の進みっぷりも違った。家に引き込もっていると、どうも気持ちが鬱々として、体のコリも増える気がする。
花見で考えても、通勤途中で見かける桜とじっくり見る桜とではやっぱり違う。まず、通勤途中であれば立ち止まってまじまじと見る、なんてことはできない。なぜ立ち止まれないのかについては、時間的に厳しいからというのと変に思われそうだからの理由があるが、どちらかというと変に思われることを恐れている気がする。だから、たまにそういう立ち止まり人を見かけると、ああ、あの人は何気なく立ち止まれる人なんだな、と羨望の目で見てしまう。そういうかっこよさを持った大人になりたい。もういい大人だけど。
なかなか立ち止まれない人間は、やはり散歩などでじっくり花を愛でるのが良さそうだ。朝早く起きるのは相変わらず苦手だが、多少無理をしてでも外に出る習慣はつけるべきだなあと改めて実感した日だった。

この記事が参加している募集

桜前線レポート

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?