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映画「半世界」の「半」とは何を指しているのか考えてみた

今日は、「半世界」という映画を見ました。

この作品の主人公は炭焼き職人の紘。彼は、いつもお弁当を作ってくれる妻・初乃と、中学校でいじめを受けている息子・明と一緒に、田舎暮らしをしています。そんな彼には小学生のときからの旧友である、光彦と瑛介がいます。光彦は紘と同じように田舎暮らしを続けていましたが、瑛介は自衛隊として北海道で働いていました。
このお話は、この瑛介が田舎に戻ってきてからの、紘の心情の変化と、それに伴う周りの変化を描いていきます。

私はこの作品を、種﨑敦美さんという声優の方のラジオを通じて知りました。種﨑さんがラジオでこの作品をみた感想を語ってらっしゃいました。自分なりの要約ですが、以下のとおりです。

作品の中に、瑛介が紘に「お前は世間を知っていても、世界を知らない」と言うシーンと、紘が瑛介に「俺にはこっち(田舎)が世界なんだよ」と言うシーンがある。これらのセリフを聞いて、確かにその人その人が生きている場所がそれぞれの人にとっての「世界」だよなと感じた。その「世界」の中のことは、他の人へ完全に伝わることってないから、自分の「世界」を他の人に押し付けてはいけないんだなとも感じた。

私はこの感想を聞いてから「半世界」を見たわけですから、映画を見ている間にも、この作品で表現したい世界ってなんなのだろう??と考えずにはいられませんでした。

以下は、自分なりの解釈です。
ここでいう世間というのは、舞台となっている田舎のことでしょう。瑛介にとっては世間、すなわち田舎、は世界ではなく、紘にとっては世間は世界です。つまり、瑛介には本来の半分しか世界が見えていないのです。


一方で、半分って未熟みたいな意味合いもあるのではないかと思いました。道半ばというような。紘は、旧友の光彦から「明君に興味をもっていないだろ」と見透かされるシーンがあります。事実、紘は明と彼をいじめている同級生が一緒にいるところを見て「良い子たちじゃないか」と無神経なことを言ってしまうこともあります。紘にとっては、見ないといけない世界を半分しか理解できていないという意味合いもあるのではないかとも思いました。

そして、紘は本当に道半ばでこの世を去ってしまうのです。ここから先は私がアマゾンレビューで見つけたコメントを私が再解釈したものです。紘は39歳で亡くなります。今は男性の平均寿命は80歳あまりという時代です。ですから、本来は見られるはずだった世界の半分しか見ることができなかったという解釈もできるということです。

全体的に単調というか、どう結末がつくのか予測できないストーリーでしたが、いろいろ考えながら見てみると、各シーンに何かメッセージがあるようにも思える不思議な作品でした。

それでは、ここまで読んでくださってありがとうございました。

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