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バス停のある風景:奈川渡ダム

奈川渡ダムバス停。
松本市営バス奈川線。
長野県松本市奈川。
2018年11月撮影。

奈川渡ダム。
1969年に完成した高さ155mのアーチ式コンクリートダム。
梓川の最奥に作られたダムで、この下流に水殿(みどの)ダム、稲核(いねこき)ダムがあり、安曇3ダム(梓川3ダム)と呼ばれている。
水殿、稲核ダムともにアーチ式コンクリートダム。

完成時の高さは黒部ダムに次ぐ日本第2位。
現在は第3位になっている。
背景のダム湖は梓湖と呼ばれ、人造湖ではあるが長野県最大の湖となっていて、貯水量は諏訪湖の2倍ほどだという。

長野県は中部電力の管轄下で60khzだが、安曇3ダムは東京電力で、その関係でダムそばの安曇、奈川地区は50khzだという。
(電気料金の支払いは中部電)

私は完成の翌年、このダムの上を通る国道158号線を父の運転する車で通っているのだが、まったく記憶に残っていない。
小学生だった私がこの上高地への旅行で記憶しているのは、白骨温泉斎藤旅館の部屋で、そばを流れる川の水がうるさかったという記憶だけだった。
と、前にも書いたような記憶がある。

さて、表題の写真は上高地行きのバスから撮影したものだが、通常、上高地行きのバスはこのバス停の前を通らない。
バス停そのものもアルピコ交通上高地線のバス停ではない。
松本市営、旧奈川村村営バスのバス停。
国道158号線を松本方面から走ってきた上高地行きのバスは、ダム手前の入山(にゅうやま)トンネルを抜けると、すぐにダム上を通って上高地へ向かう国道と、奈川を通って木曽方面へ抜ける県道の分岐点があり、その県道の方においてあるバス停なので、上高地行きのバスはこのバス停を横目にちらりと見るだけなのだが。
実は入山トンネルはトンネル内に分岐点があり、梓湖側に2つの坑口がある。トンネル内部の分岐点を右に行くと国道でダム上に直接向かう上高地方面、左に行くと奈川方面への県道に直接出る。この二つの出口の中間にあるのが表記のバス停になっている。
上高地行きのバスは通常はトンネル内で右の国道を進み、直接ダム上に向かう。
しかし、この写真を撮影したときは、なぜか左に進み、奈川方面の県道にいったん出てから右折してダム上の国道へと出た。
工事していた記憶もないし、その理由はわからない。

奈川渡、かつてはこのダムの底に集落があった。
梓川の水系には〇〇渡という地名が何か所かある。
川が合流する場所についていて、おそらく、その先に進むには川を渡らなければならないから「〇〇渡」という地名になったのだろう。

ダム建設で集落は消え、住んでいた人々は下流の方へ移転したらしい。
実は、この写真の背後の山の中腹にも集落があった。
入山宿。
野麦街道、あの女工哀史で知られた信州と飛騨を結ぶ街道だ。
その宿場があった。
宿場というほどの規模ではないようだが。
いまも、建物が少し残り往時をしのばせているらしい。
入山宿の人々は地滑りの危険があるということで、かつての宿から少しばかり北東に移転しているという。

訪ねたことがないので、できれば訪ねたい場所。
眼下に輝く梓湖を眺めてみたい。