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三浦半島荒崎の晩夏

三浦半島荒崎海岸は、外海ともいえる相模湾に面しているから、風などが吹いたり、低気圧台風が近づくと海が荒れることが多い。
内海ともいうべき東京湾側とはいつも違った表情を見せる。
この日もそれなりの風浪があって岩に砕け散った波が太陽光に白く輝いていた。

三浦半島の南側を望む

その特異な風景もぼんやりと眺めていればただの美しい風景でしかないが、その成り立ちを考えると大変面白い。
海底地形が隆起して出来上がり、その地層の向きが斜めになっていたり、地層の柔らかい部分が風や海水によって浸食されて、非常に面白い地形を作り出している。

荒崎の説明看板

大正時代に起きた関東大震災では一気に1.4mも隆起したという。今年の初めまですごい隆起だなと驚いていたが、能登震災で最大4mの隆起、荒崎の比ではなかった。

また、荒崎は風光明媚なだけでなく、歴史のある場所であって、鎌倉期の三浦義澄の居城があったという。
荒崎の海を望む高台が居城跡という話だが、荒天時は相当強い風が吹くため、本当に居城があったかは疑わしい。
恐らくは有事の際の城であって、自身はこの城の近くの海風の直接当たらないような場所に住んでいたのではないか?と勝手に想像する。

荒天となれば荒れる荒崎海岸だが、そんなときでも静かな波打ち際を見せるのが、荒磯のすぐ裏側にある50mほどの小さな砂浜。
なんやの浜というらしいが、昔からそう呼ばれていたのかは不明。
外海はそこそこ高い波があったが、この浜に押し寄せる波は50センチにも及ばない穏やかなものだった。

おだやかな、なんやの浜

この浜の右側は道路になっており、その岸壁から中学生くらいの子供たちが海に飛び込んで遊んでいた。
暑い日だったので、とても気持ちよさそうに見えた。
波のある磯の方では、何人かの釣り人の姿も見かけた。
磯の先端の方まで行って魚を釣っている。
釣り人は波を見切っているのか、怖いもの知らずだ。
私など絶対あれてる海に突き出す磯の先など近づきたくもないが。

この日荒崎からは、大島から伊豆半島がよく見えた。
富士山は雲に隠れ見ることはできなかったが、逆光ではあるがこの時期と時間にしては割とくっきり見える日だったと思う。
相模灘を見渡し見たが、風浪があるので漁船の船影は見かけなかった。

雲の下は伊豆半島天城山
背景は相模灘と伊豆半島

※2024年9月撮影
※荒崎へは京急三崎口駅より荒崎行バスで終点下車。
 徒歩5分でなんやの浜、さらに3~5分ほどで荒崎の磯。
※なんやの浜そばに駐車場有。シーズンオフの平日は無料、夜間は閉鎖。