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あやとり家族七十一〜見捨てられ不安〜

なんとも不思議な朝だった
昨日まで海外にいたのに今は一年半ぶりに再会した夫といる
彼は朝起きると仕事に出かけた
いつもは自転車で向かっているのに
この日は私のために自転車を置いて行ってくれた

「家のことしていい?」
「いいよ、適当にやって」

自転車を使い5キロ離れた役所まで行き、住民票やらの手続きを終わらせる
家について部屋の片付けをしていると
まあ、出てくるわ出てくるわ
一緒に暮らしていた不倫女と子どもがいた形跡が
ながーい髪の毛、子どもが夫宛に書いたメモや落書き

本人は全て隠し切れたと思っているのか
ADHDで片付けがあまり得意ではないこと、忘れっぽいことから
きっとどこに何が残っているのかも忘れてしまっていたんだろう

ない!!

家の中を掃除していて気づいたこと
私の荷物や、タンス、私が小さい頃から使っていた枕、食器
全て見つからない

帰ってきた夫に聞くと「全部捨てた」と
普通なら怒るところ
だけど、その時の私の心情は”自分がいなかったからしょうがない”だった

見捨てられ不安

自分がないこと、自分の中の80%くらいが夫で埋め尽くされていること
ここで怒ったら、夫がいなくなってしまう
要するに自分がいなくなってしまうのと同じくらいの打撃
どうして良いかわからなくなってしまう恐怖
この苦痛は海外で十分に味わっていたから”あきらめる”
という結論にしか達しない

これも愛着形成がされなかったことからきていること
ってこの時は知る余地もない
自分がないって本当に怖いことだと今思う

再構築できる

こんなことをされても、怒らずに現実を受け入れた
家事全般をとにかく頑張って、っというかそれしかなかったから
働く夫のためにお弁当を作ったり、朝は起こしてコーヒーを入れて
気持ちよく過ごしてもらえるように、とにかく一生懸命だった

夫も「もも変わったね」と言ってくれたし、絶対に大丈夫だと思っていた

仕事復帰

海外で貯めたお金を使い車を買った
夫の稼ぎだけでは続かないことは、わかっていたから
だからアルバイトを見つけて週3回だけ働くことにした
夫婦共働きでやっていけばいい
助け合えればいい
そう思っていた


給料日。
自分の収入を夫に伝えると、夫の1ヶ月分の給料を上回っていた
「週3日でもこんなにもらえるんだね」
全く悪気はないのだが、承認欲求が勝ってしまっていた
夫にしてみればきっと面白いはずはない
でも私からしたら”こんなにもらえるんだよ!すごいでしょ!”
って子どもが親にテストで良い点数取れたから褒めて
と言わんばかりの、ただ認めてもらいたいだけのことで
自慢したいとかそういうことではなかった

小さい頃に承認欲求が満たされていれば、自己肯定感も育ち
こんなこといちいち口にしないだろう
自己肯定感の低さから承認欲求は強くなるばかり

再構築しかけていた大事な時期を、自分で壊しにいっていたことに気づけずにいた


給料日の度にお金の計算をしては
いくら足りないとか、今度はお金の話に執着する
これも母がお金のことで父と喧嘩したり、一方的に責め立てていたことを
子どもながらに見ていて学んでしまったこと
同じことを夫にしていた

この頃、友達に会うと
「離婚するって本当?」と聞かれることが多くなった
「なんで?しないよ」
夫の中では離婚のことを考え始めていて、飲みにいって酔っ払うと
離婚することをちらつかせていたということが
後からわかった

決して私に本音は言わない

そしてとうとうその日がやってきた


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