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「怪物」を観た

映画「怪物」を観たんでその感想です。

普段映画は全然観なくって、年に1,2本観るかどうかってレベルなんですが、先週会社の先輩との雑談の中で「怪物」の話になり、まあ観てないですね〜という話から、「映画もドラマもアニメも観ない、本も漫画も読まない、けど家からあんま出ない、って休みの日とか何してるんですか?」とかなり痛いところを突かれ、「これだけ勧めても観に行かなそうですよね」と煽られてしまったので、じゃあ行ってやんよ、の気持ちで観てきました。文字にするとこの先輩かなり嫌な人みたいですね、全然そんなことないんですけど。

その先輩は「人の嫌な部分のリアルな描写が上手すぎる」と評してたんですが、まさしくその通りでした。内容に触れずに感想を述べるのはこのくらいが限界な気がするので以下は内容の話をします。







自分が日頃バカみたいにTwitterを見まくってしまうのは、まあそういう病気ってのもあるんですが、色んな人の考えを頭に流し込むのが好きなんですよね。これについてこの人はどう思うんだろう、うわこんな人いるんだ、いやそれは違うだろ、確かに確かにそれはそうだな、みたいな。定期的に「こいつは悪者だ、叩いていぞ〜」と言わんばかりのやつが流れてきたときほど注意深く、いや本当にそうか?そうは言えどもあっちにも事情があるんじゃないか?の逆張り精神で勝手に頭の中で対話させたり。だから「誰が悪者か決めつけない」ことに関しては結構自信があったんですが、

まんまとやられましたね〜〜
前半はもう担任と校長にもう心底腹立ってましたから。なんだこの胸糞展開、普通に気分悪いわ、とか思ってましたもん。瑛太のあの「うわ、こいつ無理な奴じゃん」感が上手すぎる。
そこから視点が変わって一転、、、瑛太かわいそすぎるだろ…
いや確かにまあちょっと変な奴ではあるけど、全然普通に教師やってるだけであの仕打ちは発狂もんだわ。全編通して伝えたかったことの一つって、「人は自分の視点からしか世界を認識できないし、みんながみんなちょっとずつ悪かったりして、その掛け違いが得てして『怪物』を生んでしまう」みたいなことかなと思うんですが、普通に瑛太が報われなさすぎて同情しちゃうわあんなん。
その瑛太(役名じゃなくてごめん)を結果的に追い込んでしまったミナトと校長の2人が吐き出したやりきれない想いが、すんでの所で瑛太の命を繋ぎ止めたってのがまあなんというか、物語だから当然出来過ぎな展開ではあるんだけど、個人的には良い落とし所だなと思いました。

カンヌのクィア・パルム賞のこととかよく把握してなかったんで、終盤に あ〜そっかなるほど単に友情ってだけじゃなくてそっちか〜 となれたのは逆に良い鑑賞体験だったのかもしれない。あまり露骨な匂わせはなく、でも振り返ってみれば確かにそうか〜という塩梅だったので。単純に勘が鈍かった…?それは物語の主軸にはせず、あくまで数ある受難の一つとして描いていたのは個人的には良かった。いや、まあ結果的にはあれが一番軸なのか。ともあれ子供2人の演技が本当に良かったな。ずっと見てたい。子役ってすんごい。


いや〜みんなちょっとずつ嫌な奴だったな〜
母親の何気ない一言とかもさ、子供にとっては大きなプレッシャーになってたりするし、中村獅童は最悪だったし、2年の時の担任も、そんなやる必要ある?ってくらい瑛太の頭壁に押し付けるし、角田は角田役だったし、いじめっ子も最悪だったけど、きっと彼らにも、、、でもだからって仕方ないわけじゃなくて、みたいな、そんな余白を感じさせられた。

それにしても子を育てるってとんでもなく大変だな。日中は自分の一切知り得ない学校に我が子を預けて、そこでは誰に何をされるか、何を吹き込まれるか、はたまたどんな迷惑をかけちゃうかもわからず、それでも毎日学校に行かせるしかなくて、得られる手がかりは家での子供の振る舞いや言動しかなくて、でも日々子供は成長して、変化していって、嘘だってつく。日中は自分だって働かなきゃいけない、家帰ったら家のこともしなきゃいけない。こんなの頭おかしくなりますわ。ようやってきたな世の人の親たちよ。と改めて思いました。特にシングルマザー、大変すぎるよ。
残機1しかないのにあらゆるとこに道を逸れかねない罠が潜んでて、ミスったら最悪死もありえる。子育てって鬼畜ゲーだわ本当に。自分も何とかここまで育ってきたけど、いやいやそんな心配しすぎるなや、って特に心配性の母親には思ってきたけど、まあそりゃ心配もするわな〜。冒頭のベランダから身を乗り出そうとするところとか、うわ!俺じゃん、マジごめんごめん、ってなってた。



ってなところで、Twitterばっか見ててもしょうもないんでもう少し映画も観ようかな、と思いました。終わりです。


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