障害のある人が夢中になれることを創る

こんには、下里です。先程Facebookの記事に信州大学医学部付属病院子どものこころ診療部 部長で医師の本田秀夫先生が大学でのWEBセミナーをYouTubeで発信して下さっていて今回は「あいち発達障害者支援センター 副センター長 吉川徹先生」の講義で【重度知的障害を伴うASDの医療特に行動障害障害に関して】の内容が非常に、自分たちの考える支援の考えと近かったのでYouTubeの要約と実際の支援で起きたことを書いてみようと思います(吉川先生がNHK出演が話題になっていたのは知りませんでした。ごめんなさい汗)

強度行動障害について医療からのアプローチについて分かりやすかったのでぜひ見ていただきたい内容で、我々も支援の現場では医療との連携も行いますが、両方の機関の共通の認識にし、これから地域支援の基本的な価値観、アプローチになればよいと思いますので、親御さんや障害者支援関係する方は是非とらえておいていただきたいです。

強度行動障害については統計では10万人に一人ぐらいでASDが60~80%、感覚の過敏さがあり常同的・反復的行動があると起きやすい、中度以上の知的障害をお持ちの方となっています(脳炎などの疾患によるものは除く)

行動障害の基本は予防であると「行動援護」の時代から私たちも取り組んできましたが、「学齢期に行動障害が増えること」をどのようにとらえて、発現の芽を見つけて対応していくかが重要であるということは、実際の現場でまだまだ課題があると思っています。(端的言うと学校や家庭との連携などなど)

「刺激に対する過敏さ」を周りがどう理解し、対応できるような状態を作ってか?パニック(ストレスコーピングによる他害など)後の無理なく回復していけるかということも出てきますが、ここは経験もさることながら「過敏さ」とそれに対する対処をきちんと分析していくことが重要だと思います。当法人でもこの部分での取り組みをしていて公認心理師さんにSP感覚プロファイルで過敏さを調べてもらい、その対処まで導き出して活動、支援計画、支援方法に落としこんでもらうよう取り組んでいます(今年度から始めたので結果はもう少し先ですね)

体力任せの強い指示(昔よくあった○○指導みたいなやつです)や行動を強制されてきた(○○しなさい。しないと報酬をあげません。など)ことによる誤学習をより少なくし、無理しすぎない、本人が自分の行動を選ぶという経験や「人で遊ぶ→人をコントロールしようとする」(親や支援者などを振り回す)ではなく、人と遊ぶ(一緒に楽しめる)ことをするための手段を学習できる支援をしていく方が良いですね。ここは以前にも書きましたが、やはりコミュニケーションの支援を重視することが必要だと思います。適切なやり取りを経験したり、相手が嫌なこと(相手の感情など)をわかる方法で学習してもらったりするのは学齢期には一番大切な時間だと思います。そういう意味でいえば毎日コロコロと放課後等デイサービスを変わるより、心や他児との関係性を見ながら支援員が介入するような場所の方がASDの子もやり取りが上手な子=好かれる子になれるのではないかと思います。

因みにですが、体験上ですが支援を受けやすい子(支援をしていて緊張感が少ない児童)は「家庭での愛情受けているな、環境が健やかであったりするな」と感じます。ASDの方たちは人(大人)からの影響を多分に受けていることが関わっている方はよくご存じかなと思います。

行動のレパートリーを増やすことも先生は話していますが、「できる行動」を目的とするのではなく、「興味・関心(の狭さはもともと持っている特性)の拡大を手伝う」ということがASDの支援では重要と確かに昔から言われていますね。もう20年も前から言われていますが、進んでいない部分でもあり、もっと頑張って取り組まなければと自責の念です。

これも良くある話なのですが、親や支援者が想像する就労自立や生活自立を本人の目標にしようとして「親や周囲の大人の望む姿にさせようとする」ということがあります。先生のおっしゃる通り「結果としてそうなっているのが望ましい」というのはその通りだと思いました。これもあるあるですが「うちは学校で作業ができたから、福祉の事業所ではお仕事中心にして欲しい」という親御さんのニーズはよくあります。もちろんそれまで「自立させたい」という思いで大切にお子さんの成長を見守り、育んできたのですその気持ちは痛いほどわかりますし、親御さんからすればそれが正義なのですからその気持ち考えは受け止めつつ、ここで起こったミスマッチはどこから来るのかという問題を明確にし、学校からの移行期支援(分析と強化、活動の適正化など)を手厚くする必要がまだまだあると思っています。誰かを悪者にするということではなく、現状、課題、あるべき姿に向けた改善が支援現場のみならず、ASDの育ちの中で必要ということです。なので何度も言いますが、本人がうまく言えない特性を持っている以上、学歴に本人の状態を把握するための過敏さの専門的アセスメントや知的障害の程度、ASDという医師の診断は重要なポイントになってきます。

あと、途中で出てきた國分功一郎さんの言う「意思決定支援」より「欲望形成支援」というのも面白いですね。医学書院から「中動態の世界」という書籍も出てますので読み込んでみたいと思います。

あと「動機の不足」が社会性やコミュニケーションの障害特性からASDの方たちはあるので、大人が無理にやらせたり、ルーティーンを悪用して仕事をやらせようとする、学校や施設に行かせようとする。そのような「しなければいけない」という義務や命令、ルールという名目で押し付けていくのは当事者からすれば本当につらいし、乗せられてしまうと「こじれて」カタトニアになったりし修正に時間がかかる状態になってしまいます。これもよく見られる現象です。やっているルーティーンが望まれているものか?自発的な意思表出やその支援があるか?などチェックしなければいけない点がたくさんあるのも自閉症支援の難しいですが、面白い所でもあります。分かったり、コミュニケーションがとれると面白いんですこの仕事。意思決定支援の講義もしなければなので深めたいと今回のYouTube見て強く思いました。

結論、行動障害と言ったり、書いた入りすると特別な状態と思われがちだが「人は好きである何かに没頭している状態、能動的な状態が継続できるほどよく生きられる」=行動障害でなくなる。

今は社会が変わり、知識はインターネットや書籍でいくらでも手に入れられ、健常者は遊ぶことを中心とした時代になってきていますし、これからさらに加速するでしょう。障害のある方もそうであり、これからは表面に現れている行動障害を支援するのではなく、現状分析から始まり、いい意味での遊びや能動できな時間、のめり込める環境を作ることがこれからの支援の中心としたになっていくと思われます。現に何名かの方はうまくいき始めていて今後がすごく楽しみです。


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