恋のアソート詰め合わせパック
秋晴れ、洗濯日和。
朝起きて洗濯物を干す。健康的。
初めて一人暮らしをしたとき、一番嫌いな家事が洗濯だった。
洗濯物を干すという行為がこの世で最も無駄な時間だと思っていた。
会社勤めだと基本的に土日しか洗濯できないというのもネックになる。
土日が晴れるとは限らないし、晴れたとて予定があったら外には干せない。
どうせ外に干せないならと平日の夜に洗濯機をまわせば、うっかりそのまま寝落ちして、びしゃびしゃのまま一晩放置された洗濯物におはようを言うハメになる。当然洗い直しだ。だがしかし平日の朝にそんな時間はない。発狂してた。
だからドラム式洗濯機を買った。乾燥機能が欲しかった。
もう5年以上前の話だ。
一時期、服を選ぶ基準が「乾燥できるかどうか」だった。
水洗いするのはジーパンやその他数点で済むように調整した。
だがしかしこれは長続きせずに終わった。
服は着たいものを買うのが一番。
洗濯物を干すという行為をあんなにも憎んでいたのに、おしゃれ着洗いをした洗濯物を干すのはそこまで苦じゃないと思えるようになっていた。この心境の変化は一体どういうことだろう。
ときはさらに流れ、コロナでテレワークが主流になり、平日の朝に洗濯する余裕ができた。
今の家は陽の光が差し込みにくい。
低層階かつ東に巨木が聳えているので、朝は特に暗い。
だがしかし、ベランダに出ると青空と太陽を拝むことができる。
完全に洗濯が苦痛じゃなくなった。
むしろ楽しみになった。
ただでさえ引きこもり体質だったのに、その後休職することになって引きこもりは加速。生活リズムも崩壊。
でも洗濯があると朝起きられる。
さぁて洗濯物干しますよ、とテンション上げ気味でベランダに出る。
そのまま無職になり、ますます元気に洗濯を干している。
邪魔だと思っていた東の巨木も、鳥たちの憩いの場になっているようでなによりだと思うようになった。
散歩しているときも「今自分が浴びているのと同じ陽の光が、家の洗濯物たちにも降り注いでいるのだな」と思いを馳せる。
「同じ月を見ている」と構造が完全に一緒だ。
もはや恋だ。
そうか、これが恋か。
数か月ぶりにチキンラーメンを食す。
久しぶりに食べるチキンラーメンの一口目は本当においしい。
一瞬、脳に火花が散る。
小ねぎは欠かせない。チキンラーメンのポテンシャルを100%引き出すためのマストアイテムだ。
あぁおいしい、おいしいなぁと思いながら食べ進めて、
食べ終わる頃にはもう飽きている。
2日連続で食べても、その一口目にあの感動はない。
それなのに時間が経てば必ずもう一度食べたくなる。
食べたくて食べたくて恋焦がれるときがやって来るのだ。
先週の許可局でマキタさんが、中学生という時期は「(大きな括りでいうと)ホモサピエンスの発情期」と表現していたが、中学・高校と女子高に通い、大事な発情期を恋と無縁のまま過ごしてしまった反動で、今まさに恋の盛りを迎えているのだろうか。
無機物も恋愛対象になるってポテンシャル高すぎるだろ。
このままいけば万物を愛せるようになるかもしれん。
すべてのものたちよ、おれに愛されるがよい。
↓↓↓東京ポッド許可局↓↓↓
先週分(2024/10/12放送回)、ポッドキャストではまだ配信されてなかったので先々週の分を。
今知ったんだけど、放送に入りきらなかった分がロングver.としてポッドキャストで配信されることもあるのか。知らなかった。聴かねば。