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腹痛とミクシィ Vol.30

潰瘍性大腸炎で入院し20年前のことを当時ミクシィに書いていました。
CTを撮っただけなのに40分経っても呼ばれません。


結局40分後に呼ばれた。先生の顔は明らかにさっきとは違っていて少し引き締まっていた。

「これを見て。」

と言われ生まれて初めて自分の輪切りの写真を見る。何枚かあるのだがそのうちの数枚、ちょうど肺のど真ん中に位置する場所の写真に他の写真とは違う何かが写っていた。

それは線香から出る白い煙のようだった。肺の内側から外側に向って出ていた。

「これね、肺炎になってるよ。」

咳は出るけどまさか肺炎とは思わなかった。もちろん先生もそうとは思っていなかったみたいだ。
「原因は今飲んでる薬の副作用だから。潰瘍性大腸炎の薬を飲んで肺炎になってその肺炎を抑える薬を飲むと薬のために薬を飲むようになってしまうから。まずは今飲んでる薬を止めて。」

俺は
「先生は止めてって簡単に言うけど俺はこの薬がないとまたお腹痛くなっっちゃうんだよ!」と言いたかったけどそんなこと言えるわけないので

「お腹は・・・」
と一言だけ言った。すると

「それは主治医の○○先生に聞いて。とりあえずは薬を止めてみて様子をみよう。3日後は診察ないんだけど私はいるから来て。」

と3日後の時間を予約させられた。
言い方はきついけど優しいじゃん。と思ってしまった。単純な俺。

それにしてもこれからどうしよう。肺炎は治るのだろうか?
俺の主治医はどう思ってるんだろう。


今思えばあの40分間はなんだったのでしょうか。
医師はなにかに悩んでいたのでしょうか。対策を考えてくれていたのでしょうか。肺炎を見抜いた判断は素晴らしかったと思います。しかし、言い方はきつい。

ポジティブな印象とネガティブな印象は混ざることを最近になって知りました。職場の同僚でも友達でも「そうそう!」と声に出して考え方が合う時と、「私とは違うな」と心でつぶやくときは必ずあります。しかし、当時はある一面だけしか人を見ておらず、その面がポジティブに映ったら「いい人」ネガティブに映ったら「わるい人」と判別していたと思います。浅はか過ぎます。さすがに16年も経過するといろんな方向や角度からその人を見ることができます。同時に「合うなあ」と心から思える人が数えるほどしかいないことも知ります。

この医師の印象も確実に混ざっていたことを、20年越しに知ることになりました。

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