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「本当の可能性に、アクセスする。」というステートメントは【ホッシーの広報奮闘記 #33】

お久しぶりです。
気が付けば半年以上テクノツールの広報としてのnote更新を怠っていました。

この間にわたくしホッシーは、あらゆる活動の幅を広げ、西へ東へ東京の街を駆け回りながら、様々なお仕事を任されて拙いなりにも取り組んでおりました。

本当にいろいろあったんです。

もてぎサーキットでeレーサーになってウイニングクラッシュ起こしたり、数年前は画面上で参加するだけだったHCRの現地へ赴いたり、Accessコントローラーのお仕事をいただいたり、そのご縁でCEATECのソニーブースにご招待いただいたり、テレビに出たり…

eレースに特製のジョイスティック操作で参加している
Accessコントローラー試遊の様子
愛するアニキことJeni
SONY開発のカメラ体験


あまりにも書くことが多かったはずなのにそのどれもが報告出来ないまま現在に至ります。

その間にわたくしホッシーが行っていたこと、それは
「本当の可能性に、アクセスする。」
というイベントの実行委員長でした。

「本当の可能性に、アクセスする。」メインビジュアル

実行委員長をさせてもらいました

始まりは昨年3月。
ドローンのプロジェクトや様々な活動を通して、それらが持つ価値や未来を知ってもらうためにどのようにすれば良いかを考えていた中、

「イベントとして体験してもらえる場所があると良いのではないか」

というきっかけでイベントの構想が始まりました。

ドローンのプロジェクトで協働している株式会社シアン、
そしてテクノツールと連携している車椅子製作の株式会社コボリンと共に開催することになったこちらのイベント。

その実行委員長にわたくしホッシーが薦められたのは、
ちょうど東京への引越しの手筈が整った新幹線の中でした。

未曾有の仕事

さて、白羽の矢が立ち、いつも通りの軽いノリで

「実行委員長っスかァ〜?いいっスよ〜!」

と答えた(盛った)わたくしホッシーですが、イベント運営というものをしたことが無く、
引き受けてみたものの、出来る自信が全くありませんでした。

様々なイベントに足を運んだことはあっても、
その運営体制がどのようになっているのかは全く分かりません。

会場をどこにするか、どんなものを出展するのか、
そもそもそのイベントを開催するコンセプトは何なのか…

とにかく決めなければならない様々な事項をどうするのか、
机の上で悶々と考える日々が続いておりました。

様々な問題を多くの方に尋ねたり協力していただいたり、
アクションを起こしてくださる中で1つずつ解決していきましたが、
その中でも個人的に一番大きな問題は

「お金、どうするの?」

といった部分でした。

クラウドファンディングの挑戦

クラウドファンディングサイトの画面。画面には「障害のある人々の遊びの可能性を広げるイベントを開催したい!」という抱負が書かれたサムネイルと、支援総額101万3000円、支援者数111人という情報が記載されている。

今回のイベントは、開催に必要な費用をクラウドファンディングで募る方法を選びました。

クラウドファンディングをしよう!となったものの、最初のうちは自分だけあまり乗り気ではありませんでした。

クラウドファンディングという文化にとても懐疑的だったのです。

それは、他のクラウドファンディングに挑戦している方、
そしてそれを支え、応援している方を否定しているのではなく、

「自分が面前に立った時に、果たして応援してくれる人がいるのか」

といった不安感から来るものでした。

誰かに呼びかけて協力や支援をお願いするということは、自分にとってとても苦手なことです。

「身体的な制約がある以上誰かに介助をお願いしないと生きていけない身なのだから、
せめて他のことぐらい自分で解決するべきだ。」

という考え方が根深くあるので、いくら仕事だとはいえ抵抗感が拭えませんでした。

そして「お金」という視点においても、寄付する・お金を貸し借りするということに対して知識としてある程度の理解があるつもりでも、

テクノツール自体ではなく、社会人2年そこらで社会的信用や信頼のあまりない自分が面前に立って出て、

信頼・信用をお金に変えるということができるのか、とても不安がありました。

今回のクラファン挑戦では、様々な経験者の方の協力やクラファンサイトの運営の方の伴走のおかげで挑むことが出来ました。

ここにおいても最初は、

「どうやったら効率よくお金を集められるのか」
「誰を広告塔にすれば良いか」

などといったテクニック的な部分を聞いていて、自分の中に潜む根深い思い込みが顔を覗かせていたのです。

そんな中、皆さんからいただいたアドバイスは

『「なぜそれを達成したいのか」という、思いの熱量が大事だよ』

というもので、(そんなわけないだろうさ…)と思いながらも、このイベントに懸ける想いを丁寧に言葉にしました。

結果的にこのアドバイスが本当にその通りで、
蓋を開けてみたら自分の今までを形成してくれた全ての方々が
クラウドファンディングを様々な形で全力で応援してくださり、支援してくださいました。
そして、自分や主催3社の行動に対して、何かしらの思いを持ってくれている人がいる、
目指す方向性を同じように大切に思ってくれる人がいるということを実感しました。

この一連の流れが自分に与えた影響は本当に大きく、その後のイベント当日までの間、

「どうしたら皆に喜んでもらえるだろうか」

とワクワクしながら準備していたのは言うまでもありません。

出展していただいた様々な団体

今回のイベントでは、「本当の楽しみに、アクセスする。」というお題のもと、様々な企業や団体、個人の方に出展を依頼しました。

イベントに来てくださる方に、魅力ある方々が作ってきたものを通して触れてもらいたいものがたくさんあったのです。

「OGIMOテック研究室」

「OGIMOテック研究室」の展示品を並べた写真。画面上には手をかざすことでアイテムが出てくるガシャポンや、分身ロボット「OriHime」といったロボットが展示されている。

まず、「OGIMOテック研究室」として出展してくださった廣瀬さんは、
障害のあるお子さんや、家族や身の回りの大切な方に向けたモノづくりをしています。

彼が作るモノづくりには、思わず触れたくなるような遊び心と、
喜んでもらいたいというプリミティブな優しさや愛情があるのです。

「これを作ったらおもしろいかもしれない、楽しんでくれるかもしれない」

というワクワク感は次から次へと溢れて来るもので、
実際廣瀬さんのお話では
「もうちょっと持って来たかった…」
と呟くほどに様々なモノづくりの結晶がありました。

この「次から次へと溢れてくるワクワク感」は、
閉塞的にならないように未来へ予定を作ってくれるもので、
そこから分かれる枝葉のどれもに魅力を付与するのです。

そういった喜びを感じてもらいたくて、廣瀬さんにお声がけさせていただきました。

「世界ゆるミュージック協会」


「世界ゆるミュージック協会」の出展ブースの写真。 画面にはボタンを押すだけでコード演奏が可能になるデバイスなどを置いており、体験者はそれらに触れて演奏している。

こちらは、以前お仕事として携わらせていただいたSONYの皆様からご招待いただいたCEATECというイベントにきっかけがあります。

こちらのイベントで展示されていた
「ウルトラライトサックス」
という楽器に一目惚れして、

「この楽器を何とか同じ当事者の仲間に試してもらいたい…!」

と強く望み、ぜひ展示していただきたいとラブコールを送りました。

音楽ないし音というものは、様々な場面で人や環境を繋ぐ大切な要素になります。

個人的な見解として、音楽というものはそのものが持つ「音程」「音色」「リズム」などの要素や、
その集合体が聴こえるということだけに魅力があるというわけではないと思います。

楽器演奏には様々な方法があって、叩いたり、弾いたり、擦ったり、
様々な触れ方で物と物との間に波を起こすことでそれらの音が鳴り、
そこで起こる「振動」や「調和」といったプリミティブな感覚に魅力があるのです。

そう考えたときに、「音」を間に入れて人と人が触れ合う瞬間に起こる感覚を楽しんでもらいたいと思ったのです。

実際、隣のブースで展示していたメタバースの民と、
次元を超えたセッションが繰り広げられるといった、
なかなか類を見ない繋がりがそこで生まれました。

オンラインボッチャ

オンラインボッチャ展示ブースにて、ボッチャ展示試合中の様子。画面には異なる色のボールがシートの上に転がっている。

また、会場の真ん中で繰り広げられたオンラインボッチャのブース。

代表の大川さんは、球技であるボッチャをどんな状態であってもオンラインで誰もが遊べるように、
装置を開発したり大会を運営したりといった活躍をされている方です。

ボッチャは、カーリングやペタンクのように的となる白いボールに向けて、
赤と青のボールを転がし、どれだけ的に近づけられるかを競うゲームです。

このゲームはパラスポーツとしてはかなり有名なゲームで、支援学校の体育の授業や、
障害者施設のレクリエーションの時間でも広く親しまれているゲームです。

ボッチャって本当に奥深いゲームなんです。

ただ的に向かって投げるというだけなのに、
いざボールを投げてみると狙い通りに投げるためには、
身体的スキルと頭脳スキルの両方が求められることが分かります。

また、どのツールをどう使ってボールを転がすかも重要なのです。

「ランプ」と呼ばれる筒を半分に切ったようなスロープを使ってボールを転がす方法もあるのですが、
これがなかなかのじゃじゃ馬で、角度が1°変わるだけで全てのボールの動きが変わるのです。


ランプ

さらに的となるボールは、他のボールを当てることで相手チームから遠ざけたり、
自チームに有利な場所に置いたりすることもできます。

この妙や奥深さをオンラインであれば、
自分の居やすい場所で楽しむことができるということを知ってもらいたかったのです。

フジオート


eレースゲームで使用するハンドルコントローラーを手のみで操作できるよう作られた装置を、体験者が操作している写真

そして今回テクノツールのレーシングシミュレーターブースで同時出展していただいた有限会社フジオートは、
主に車の手動装置(足による操作が困難な方に向けてブレーキやアクセルを手で操作できる装置)などを販売している会社ですが、
現在テクノツールと協働でレースゲーム用の手動装置を製作しています。

私が初めて代表の杉山さんにお会いしたのはHCR(国際福祉機器展)でした。
その時にお話をして、車の運転を楽しんでもらいたいという想いと、
その為に行っている販売や研究についてのお話を聞いた時に感じた聡明さに、
とてつもない魅力を感じたことを覚えています。

今回のイベントでも、スポンサーとして私たちのイベント開催への想いに賭けてくださいました。

異なる分野の製品やサービスを販売している会社同士でも、
想いや狙いが重なることで協働し新たな形の製品を生み出すことができるということを知ってもらいたかったのです。

実際、手動装置型のハンドルコントローラーはテクノツールのブース同様多くの方に体験していただくことができました。

アシテック・オコ


アシテック・オコ代表の小林氏が体験者と共に話している写真

「相談ブース」として出展いただいたアシテック・オコの小林さんは、
今回のイベントの中では「モノ」ではなく「相談」にフォーカスしたブースでした。
出展確認の際に「どのようなものを展示しますか?」とお尋ねしたところ、
「展示物は手元にないんです。」
との返答をいただきました。
つまり小林さんが作るものは、既に対象となる方の暮らしの一部になっており、その事例を持つ小林さんのアイデアこそが今回の展示の重要な要素だったのです。

小林さんは、僕が仕事をする上で大切にしたい考え方をくださった方です。
彼から教わった
「冷静に他者を思いやる」
という言葉は、自分が仕事をしたり他者と関わる上で大切にしている考え方です。

今回のイベントでは、そんな小林さんという魅力的な方と、自分の身の回りにいる方との繋がりが生まれたら嬉しいなと思っておりました。
実際、「このお2人は相性が良さそうだな」と思っていた人達同士が繋がった瞬間に、心の中でガッツポーズをしたのはここだけの話です。

J-Workout


J-Workoutの出展ブースの写真。3人いるうちの1人は体験者にチラシを渡し、残りの2人はまた別の体験者と談笑している。

そして今回共催として出展いただいたJ-Workoutの伊佐さんのおかげで、
今回とても大きな会場でイベントを開催することができました。

伊佐さんとの出会いは、東京に引っ越した当初参加したキッズフェスタまで遡ります。

東京モノレールに乗りながら、
おそらく同じ会場に向かうのだろうなぁ…」
と薄ぼんやり思っていた方からお声がけくださり、後で名刺交換をして判明したのが伊佐さんであり、
J-Workoutの代表であるということ、
そして既にテクノツールとの繋がりがあったということでした。

あの日、伊佐さんとお話することがなければ
イベント開催は無かったと個人的には思っているのです。

伊佐さんの運営するJ-Workoutは、脊髄損傷のある方に向けたトレーニングを提供する団体です。

障害といっても様々な種類があり、
一口に身体が動かないといっても人によって様々な症状があります。

自分の身体的な弱みにフォーカスするだけでなく、
自分の身体が持つパワーを引き出すことも「楽しさ」を見出す鍵となるのです。

人は生まれてから死ぬまで自分の身体と一生を共にしますが、
その身体を鍛えることも出来ないを出来るに変えて自信に繋がるのです。

今回出展いただいた全ての団体に、自分にとってかけがえのない思い出や思い入れがあります。

そういったものの片鱗を、来てくださった方が少しでも感じていてくださればありがたいなと、イベントが終わった今は願っています。

「本当の可能性に、アクセスする。」というステートメント


今回のイベントタイトルである
「本当の可能性に、アクセスする。」
という言葉はテクノツールが掲げるステートメントです。

イベント準備やイベント当日、そしてイベントが終わった今もずっと、
この言葉を通して自分は何を考えているのだろうと思索に耽っています。

イベント当日、実行委員長として会場内を回る中で様々な光景を目にして思ったことがいくつかありました。

あの日あの会場は、人と人を繋ぐコミュニティのようなものを形成していたと思います。

自分の知り合いが多く来ていた中で、
「実はお互い認識していたけど初めて生身で出会った」という事や、
「新しい人や物に出会って、見識を深めたり、その後の交流ができる」
といった光景が見受けられました。

これもあくまでも持論ですが、人との出会いは彫刻刀のようなもので、
その出会いの数だけ新しいものや素晴らしいものが、
より深くはっきりと形成されていくのだと思います。

外の環境にリーチしようと行動する中で、
デバイスを整えたり、環境を整えることで出来ることが増えるというのは、
何かその先にあるものを掴むきっかけに過ぎないのだなぁと感じました。

今回のイベントが終わった後に、
たまたま自分を振り返る機会があったのでつらつらと書いていくのですが、
自分が障害を持つ当事者として、日々の生活の中で悲しくなることがいくつかある中で、その中でも大きなものは
「自分の持っている能力を信じてもらえない」
瞬間にあると思ったのです。

きっとおそらく大切な人がいる経験をした方なら分かってくれる感覚だと思いますが、

「この人が健やかに生きていくために、
それを阻害するようなものになるべく触れて欲しくない。」

といった愛情を与えたり、受け取ったりすることがあると思うのです。

それは優しさに満ち溢れた呪い(まじない)であるのと同時に、
ともすれば先々を縛る呪い(のろい)になることもあり得ます。

良い出会いだけが良いものを作り上げる訳ではないと思います。

あり得ないほどの最低な振る舞いをしてくる人や環境があることは否めませんし、反対に、誰かに対して自分がそういった最低な振る舞いをしてしまうことも否めません。

それらは確かに良くないものですが、それらに出会うことで実感として学ぶことがありますし、
自分にとって良い出会いがあった時にその価値を確認することができるのです。

そういった様々な経験とトライアンドエラーが出来る環境が欲しくて、自分は様々なことに足を突っ込んでいるのかもしれないと思いました。

どこでどんな出会いがあるか分からないからこそ可能性という言葉があり、
その中から選んでいける状態の中で様々な出会いを比較したときに

「これが本当に自分の求めていたものだ!」

という発見を繰り返していくのだと思います。

自分がやってみたいことは、その巡り合わせを無理矢理作る事ではなく、入り口で

「こんな環境や物や人がいるのだけど、どれでも好きなのを選んでみてね。
では、行ってらっしゃい。」

と見送られるような活動なのかなぁと考えています。

最後に


約2週間以上が経って振り返りを書くのがここまで遅くなりましたが、
今思い返すと自分が何をしていたのかをあまり思い出せなかったりします。

自分がやったことよりも、多くの方々に助けられたことの方が多いのです。

イベントを開催する方法が分からず3人の社長に「助けてください…」と泣き言を言ったり、
「ホッシー、あれやった?」と言われて初めて足りない仕事を知ったり、
無知ゆえにあまりにも粗野なミスを繰り返しながらも、

様々な方々に応援していただいて何とか当日を迎えることができました。

本当に心から感謝しています。
ありがとうございました。

テクノツールとしては現在、12月に無事テクノベースが開所して、利用者の方も着々と増えています。

テクノツールにとっても事業所の運営というものは初めてであり、まだ手探りな状態ではありますが、
その事業所を構成していく利用者の方が多くなればなるほど、
仕事の内容ももっとバラエティ豊かになっていくと思います。

今回と同じスタイルでイベントを開催するかどうかは分かりませんが、
引き続き「本当の可能性に、アクセスする。」ための活動を続けていきますので、
今後ともテクノツールに注目いただけたらと思います。

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