見出し画像

浦島太郎の弟

陽成院に出没する浦島太郎の弟

見出しの画像は浦島太郎です(画像出所:ウィキペディア)。陽成天皇が帝を辞された後の邸宅が、陽成院です。現存しませんが、京都市中京区東夷川町辺りです。『源氏物語』は、この陽成院を二条院に想定していると言われており、興味をそそられる場所であります。
でも、ここには妖怪物語があります。『宇治拾遺物語』では、この場所に化け物が住んでいると記されています。あるときの真夜中、一人の老人が、警護の者に話しかけます。自分は、昔からここに千二百年住んでいる浦島太郎の弟で、ここに社を造り、自分を祀るよう言います。警護の者が、自分の一存では難しいと答えると、その老人は、巨大化し、その警護の者を蹴り上げ、一口で食ってしまいました。『源氏物語』の二条院と妖怪物語、対照的なお話のある場所です。

陽成院跡(出所:ガイドブックに載らない京都
https://www.kyoto-inf.com/2020/10/30/posted-yozeinato/)

陽成天皇

それでは、陽成天皇とはどんな天皇だったのでしょうか。陽成天皇は9歳で即位しますが、宮中殺人事件に関わったとされ、17歳(満15歳)で退位となってしまいます。陽成天皇の叔父藤原基経との確執が背景にあります。ただ、確執と言っても陽成天皇は幼かったので、その母藤原高子と基経との兄妹の対立といった方が良いかもしれません。奇行が多く、暴君とされていましたが、その後権力を握ったのは基経であり、実際本当かどうかわかりません。
『宇治拾遺物語』には、陽成天皇に関して、ひとつ面白いお話があります。宮中に仕える滝口道則が、怪しげな呪術を習います。そして、彼は履物を子犬や鯉に変えてしまします。この話を聞いた陽成天皇は、道則を呼んで、この術を習ったそうです。陽成天皇は、呪術を身つけていたのかもしれません。

陽成天皇(出所:ウィキペディア)


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