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金木犀の香りを知らない私は感傷的になりきれない

「赤黄色の金木犀」名曲ですよね。
フジファブリックは季節の変わり目に合ったノスタルジー曲がありすぎて毎年思い出して聴いてしまいます。「赤黄色の金木犀」もその一つ。
どこへ行っても金木犀グッズが並んでいるのでふと無性に聴きたくなりました。
夏の終わりの「若者のすべて」がとりわけ有名ですが他にも名曲はたくさんあるのでもっとみんなに知って欲しいような有名になりすぎないで欲しいような…。歪み過ぎないキレッキレのギターときれいなキーボードのメロディーラインに乗せるあの抑揚のない声が癖になり、抑揚のなかった声が感情的に歌うサビが堪らないのです。はい。

中学から大学にかけての学生時代にロックにハマり、邦楽洋楽問わず聴き漁っていたのですが、今でも定期的に聴き返したくなるのはやはり
フジファブリック、the pillows、BUMP OF CHICKENとかなんですよね。
でもエルレ、アジカン、テナー世代なのでそっちも聴くし、結局好きなものはずっと好きなのかな。音楽って思い出と連動するから。

金木犀の話をしようと思っていました。
私の地元には金木犀が1本も生えていなかったと断言できます。
近所にも通学路にも一年中甘い香りがすることはなかったし
あの赤黄色の花に見覚えもありませんでした。
なので大学生になり地元を離れるまで「金木犀」の存在を知らず、友人が「金木犀の香りが好きだ」と見せてくれたハンドクリームで初めてそんな植物があると知りました。存在を知ってみると、毎年秋の始まりには店頭に
橙色の金木犀グッズが並び、いかにみんなに愛されている香りなのかを知らされます。まさに桜と肩を並べるほどに。

私の周りにも金木犀好きはいて、「この香りがすると秋だなぁって思う」や「懐かしい匂いだよねー」なんて感傷的になっています。
しかし子供時代に金木犀のない世界で育った私にはそもそも金木犀の香りの記憶や思い出もなく、遠い目をする友人達が少しうらやましい気持ちです。調べてみると金木犀は観賞用に植えられることがメインで、野良金木犀はいないそうです。
私の地元にはいい香りの為にわざわざ金木犀を庭に植えるおしゃれな人はいなかったのでしょう。実用的な梅・柿・栗の木はたくさんあったのですが。

金木犀以外にもノスタルジーになる匂いってたくさんあって
夕立の後の草と土の匂い
仏壇の線香の匂い
花火の火薬の匂い
甘口カレーとご飯の炊ける匂い
ひんやりとした境内の匂い
干したての布団の匂い
元彼のタバコの匂い
私にとってはこのあたりでしょうか。

金木犀は私にとって、もう会うことはできない知らない誰かのような存在で
今年も一人、感傷的になりきれずもやもやしているのです。


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