春を売る女
「春を売る女」
この言葉から何が想起されるだろうか。
子供の絵本に出てくる妖精さんかしら。
或いは季節を司る優しい魔女さんかしら。
このような感じで私の頭では、
とてもメルヘンな世界が想起された。
果たしてその実態は。
春を売る女とは売春をする女の意。
つまり売春婦のことである。
ああ、なるほど。
言われてみれば読んだままだ。
なぜ気づかなかったのだろうか。
そもそもだ。
なぜ性的な事象の表現に春という言葉が使われるのだろうか。
するとびっくり、春という言葉それ自体が性行為という意味を含んでいるのだ。
こんなにも堂々と「性行為」の記述があるとは知らなんだ。
春にこの意味が生まれたのはおそらく春の季節的な生命の爆発であるとか、生態学的な繁殖期の到来あるとか。とにかく本来の意味である季節からの連想の比喩的な表現である気がする。性行為を古くはまぐわいと言った。
あまりに直接的すぎるこの表現をやんわり風情を持って表現するならば、やはり「春を売る」という表現に落ち着くのだろう。売春等の研究資料を見るとやや古い文献には、品性の無い直接的な表現を避けてかこの言葉が使われる場合が散見される。
春のイメージも相まって男性も女性も貶めない優しい表現だ、というのは買い被り過ぎだろうか。
。。。
まあ、とにかく春を売る女という言葉にはものの見事に裏切られた訳だ。
清純系かと思ったら飛んだ色情魔だった。
だが、それもいい。
以上になります。
ありがとうございました。
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