バグの妙

割と好きなゲームのバグについて。


8月32日。

夏休みの延長戦。

永久のぬるま湯の第一歩目である。

一見幸せな、いつも通りの夏休み。


しかし、どこかおかしい。

異常が日常を蝕む。

窓が開いているのに外に出られない。

皮膚が緑になっている。

バグった日記。

文字化けする会話。


こんなにボロボロになりながらも、続行される夏休み。

かつての快楽に醜くしがみ付く、死にゆく廃人の頭を覗いているよう。

夏休みは終わるから、素敵な思い出たりえるのか。



はい。

ゲーム史上もっとも有名なバグといっても過言ではないだろう、

「ぼくのなつやすみ」の「8月32日」というバグである。

単純なシステム上の欠陥なのだが、

なんというか、教訓に富んだというか、

なかなか情緒のある良いバグだと思う。


完全にプログラム通りにしか動作しないゲームという存在が、

人間の意図しない動作を起こす。

人間の統制を離れたプログラムの特異点がバグである。

神秘的だなぁ。



人間の支配からの解脱という意味では、次のバグが最高峰だろう。


本体破壊
「MAJORDREAM メジャーWii パーフェクトクローザー」


言わずと知れたクソゲーオブザイヤー大賞作品である。

後ろ向きで打席に立つ、首が前後反転する、レーザー光線を放つ、、

等々、他にも様々なバグはあるのだが、

中でも突出して狂ったバグが、「wii本体を破壊する」というバグである。

どういうことかというと、

フリーズが発生した場合に、本体にかかる負荷による発熱が素子の破壊を引き起こす、という現象である、らしい。

ソフトはハードがあって初めて動かせる、

つまり本来、ソフトとはハードの下位ドメインに属する関係だ。

それが、ソフトによってハードを破壊する反転現象が起こった。

機械の反逆とはこのことよ。



バグとは、

人間の管理を離れたプログラムの可能性である。

ロボット三原則だとか、AIのシンギュラリティだとか。

プログラムが人間を超える、或いは支配から脱するきっかけは、

単純なコードの欠陥が引き起こすバグかもしれない。

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