嘘か誠か、いつか誰かの譫言。その1

昔、誰かが言っていた、嘘か誠か分からないような話。その中に時々、忘れずに残っているものがある。
人間の脳のリソースは有限であるが、100年弱を生きていても記憶容量が保持されるのは、短期記憶の時点でどうでも良い記憶を片っ端から消去しているためであると言われている。つまり脳の記憶機能は瞬間記憶・短期記憶のデリートによって保たれていると言っても良い。
しかし、時々。おそらく、どうでも良すぎて、脳に一時的にブールされる即時記憶から消去するのを忘れてしまったのだろう、貴重な脳のリソースを圧迫する、無駄な記憶たち、いわば忘れるのを忘れてしまった記憶たちがいる。今回はそんな記憶を思い出してみる。消されなかった記憶の中に、自分の興味や性癖が詰まっているような気がしてならない。そいつらを今一度掘り起こしてやろうというわけだ。

今のところは全4回を予定しているが、思い出したら増えていくかもしれない。

  1. 体内のダイヤモンド

  2. ヨウの秘密

  3. 二次関数はお化けだ

  4. 本当の恐竜の名前

では、今回は第一話として「体内のダイヤモンド」に関する小話を1席。

小学校1年生の頃の担任の先生が言っていた。当時、小学校でうんこをすることは恥ずかしいものだという風潮が生徒の間の暗黙の了解としてあった。トイレが長いとうんこしてたの?と大きな声で冷やかすような子がいたこともある。小児特有のうんこというワードに対する可笑しさもあっただろう。そんな羞恥心で学校でトイレを我慢した結果、教室で決壊してしまった子がいた。先生はトイレに行くことは恥ずかしいことじゃ無いんだよとクラスに説いた。その中で一つこんな話をしたのだった。「うんちを我慢していると、お腹の中でどんどん溜まっていって、詰まっちゃった手術した人もいたそうですよ。お腹切ってうんちを取り出すと、我慢しすぎてダイヤモンドになっちゃってから詰まっちゃってすごく痛かったみたいです。みなさんもちゃんとうんちしましょうね」うーん、、、こんな感じだったような気がするが、、(うんこだけに)まあ、昔の話なのでディティールはともかく、そんなことを言っていた。もちろん大嘘なのだが、小学生をトイレに誘うには効果覿面だった。我慢しすぎてうんこがダイヤモンドにって、、なんじゃそりゃだが、そんな先生が結構好きだった気がする。

あと、その先生はもう一つ体内にダイヤモンドができる話をしていた。話の脈絡は忘れてしまった。帰りの会のときだっただろうか。帰りの会の先生のおはなしで、時々、先生は連絡事項の他に、他愛のない雑談をしてくれることがあった。その中の一幕。
お笑い芸人とか、スポーツ選手とか、勉強を一生懸命やってないように見えても大スターになって活躍している人たちがいますね、という導入だった気がする。実は彼らとっても頭がいいんです、とおっしゃるわけである。いつも脳みそをフル回転させて立ち回っているんです。彼らの頭を解剖するとね、脳みその中にダイヤモンドができてるそうですよ!

嘘こけーーーーー!!

な内容なわけだが、ともかく小学校も一年生だったので、みんなも頭にダイヤモンドができるように頑張りましょうね、と言われても、素直にはーいと返事をしたのだった。


ああ、そうだ。


あの先生は元気だろうか。

あの頃のみんなはみんな元気だろうか。

今、私は元気だろうか。

今、私の頭の中にダイヤモンドはあるのだろうか。


私がいつか死んだら、
この話を覚えている人に。

私の脳を抉り漁って探してくれ。
一生かけて脳内にどれだけのダイヤモンドが生み出されたか確認してくれ。


きっと、、小さいんだろうな。




終わり。

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