漫画から学ぶということについて
漫画に学ぶ○○みたいな記事をときどき見かける。
特に成功哲学とか人生論を学ぶものについて。
所詮は漫画と馬鹿にしていませんか?
実は漫画には我々が成功するために重要なヒントが満載なのです...
などと銘打ってワンピースやら、スラムダンクやら有名漫画のフレーズを抜粋して、どこかの啓蒙書に書かれていたことと照らし合わせる。
。。。
これらの記事からはどうも違和感を感じるのです。
今回はこの違和感の原因を考察してみたいと思います。
これらの記事中で、彼らの言い分はこう聞こえます。
私は漫画という低俗な娯楽から、
こんなにも高尚なものを見出せる高等な人間なのです。
という圧倒的な上から目線。
見下しすぎて、見上げてる。
漫画しか読まないような下等な人間には、
漫画からこれくらいのことを学べよというマウントを。
漫画を読まないようなインテリには、
下民趣味から学びを見出す独自の切り口を持っているよというアピールを。
一挙に勝ち取れる、ずる賢い企画だなぁと思うのです。
おそらきなんとなく感じる不快感の原因はここかと思います。
ただし、先に述べた違和感の原因はここではない気がします。
もう少し考察してみましょう
。。。
漫画を読んだら、面白かったにゃあ。とか、阿呆な感想でも言っておけばいいのです。或いは、内容の考察をしてみるとか。
彼らには真っ向から漫画と向き合う姿勢が足りていないのではないかと思うのです。
そもそも彼らが本当に漫画から学んでいるのか、といえば微妙です。
正確なところは彼らは漫画から学んでいるというよりも、
自らの知識を漫画によって再確認しているといったほうが腑に落ちる。
この手の記事を書く人間は、おそらく元々ビジネス的な、成功哲学的な知識を持っているのです。そのうえで漫画を読む。其の上で、この場面は○○の××の理論に当てはまるなぁとか、この部分は△△のエピソードと類似性があるなぁとか考察をしていくわけです。
つまり、漫画から学んでいるわけではなく、
自分の知識に合致する部分を探しているだけなのです。
これは誤字脱字探しに等しい。
較正校閲に学びはあるのか。
無いのです。
つまり、彼らにとって本当の学びは漫画の外にあって、
それをあたかも全て漫画から学んだかのように飄々と語る。
このロジックのすり替えが気持ち悪さ、先に述べた違和感の原因な気がします。
。。。
以上、漫画から学んだと嘯く人達に感じる違和感を何とか言語化してみました。
はだしのゲンを読んで戦争を学んだとか、ブラックジャックによろしくを読んで医療現場の実態を学んだとか、そのような学びは素直でよいと思うのです。
ただ、漫画を出汁に自説を展開するのは詐欺紛いの所業に感じます。
まあ考えてはみたものの、ちょっと推論が過ぎるかな。
終わり。