マガジンのカバー画像

比較的悪くない記事

24
習作の内、比較的悪くない出来の記事
運営しているクリエイター

#日記

蝉の断末魔

九月上旬の午後七時を過ぎた頃だった。 移り行く街の景色は容赦なく、今年の夏も残り僅かと喚く。 秋の虫が鳴いている。 どこからともなく金木犀が薫っている。 もうすぐ夏が終わってしまうという特に謂れのない焦りが胸中を支配する。 徒に流れる時間の速さに焦燥し、 自身の進歩の無さに憔悴する。 でも、まだ夏は終わっていない。 未だ厳しい残暑を盾に、私は醜く夏に執着する。 コンビニで弁当を買って、 大学に戻るところだった。 信号が青に変わり、横断歩道を渡る。 横断歩道の半

たのしい大学体育 タグラグビー 序章

大学時代の「タグラグビー」の授業についての話。 大学3年の後期、体育の単位がまだ残っていた。 体育の授業には人数制限があり、抽選によって履修の可否が決定される。基本的に1年生及び未履修者を優先的に受け入れるため、2年次以降の履修は急に狭き門となる。通常は1コマ分の履修で充分なので特に問題にならないのだが、私は教職過程を別にとっていた為他の人よりも1コマ余分に単位が必要だった。毎学期、必修科目の穴を見つけて抽選に応募していたのだが、上記のシステムにより遂にここまで2コマ目の履

夜の札幌。寒空の下聴いた、あの路上ライブは

学会で行った札幌で、先輩と路上ライブに通い詰めた話。完全版。 寒空と言いつつ時期は九月中旬です。 夜の札幌、寒空の下聴いた、あの路上ライブは。前編 夜の札幌、寒空の下聴いた、あの路上ライブは。後編 9月中旬に札幌で学会があった。 初日の午前中が発表だったので、前日の夜に札幌に乗り込む。 当初予約していた成田発のpeachが当日、資材の搬送によって欠航なり、 急遽ANAを取り直したというアクシデントがあった。 旅費はこちらで立て替え、後日学校から支給されるシステムだ

宮崎食事録

日記の書き起こし。 四泊三日で宮崎に行った時の外食まとめ。 学会の数少ない楽しみ。 初日ー昼飯 宮崎駅_昼_栄養軒_ラーメン_650円 発表は明日だが、ホテルのチェックインは3時からなので、会場を確認したのちに宮崎神宮を観光。帰り道でいい雰囲気のラーメン屋を見つけたので昼食にする。ラーメン650円。学生ラーメン550円を頼もうとしたが、中高生限定らしい。赤面。学生証の確認を求められたのでまだ中高生で通用するのか、或いは中高生的な幼さが残ってしまっているのか。 ラーメンの方

大阪、冬の高架下、占い師はかく語りき

本記事は前に投稿した話の前編と後編を合わせたものです。 ・大阪、冬の高架下、占い師はかく語りき_前編 ・大阪、冬の高架下、占い師はかく語りき_後編 大阪の高架下のおばちゃん占い師に占ってもらった話。 いつかの二月のことである。 先生のシンポジウムの付き添いで大阪大学に訪れる機会があった。 通過したことはあったが、大阪自体に用があることは今までなかったので、シンポジウムが終わったのち、観光がてら夜の街を彷徨うことにした。 夜の街が好きである。一見、視界は電気に照らされて明

土を舐める

土を舐めるという表現について。 地元の個人病院にいったときのこと。 インフルエンザの予防接種でいつもお世話になっている小さな個人病院にいった。60過ぎのおじさん一人と3人くらいの看護婦さんで回しているため、回転効率は悪いのだが、人当たりがよく、勉強熱心で、腕がいいので毎日たくさんの人が訪れる。 その日も例にもれず1時間半程度待たされた。 待ち時間はいつも待合室に置いてあるバガボンドを読み進めるのだが、流石に途中で集中力が切れてしまうため、待合室の婆様たちの会話に耳を傾

赤ウーソーと赤五マソ

日記。 古い麻雀牌を買ったら赤ドラがなかった話。 高校の時の友人と年に数回集まって雀卓を囲む。普段は池袋の雀荘を利用しているのだが、このコロナ禍の下、雀荘に行くのも憚られるので郊外にあるうちのアパートで開催することになった。 しかし、我が家には麻雀インフラが整っていなかったので、急遽購入する運びとなった。とりあえず炬燵を囲む座布団が2枚しかなかったのでホームセンターで調達。 さて、メインとなる麻雀牌だが、新品は高いのでハードオフで中古品を探すことにした。ボードゲームコー