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制御不能な戦争  感想

暇なので雑誌に載っていたlran Goldenbergさん(https://twitter.com/ilangoldenberg)の寄稿文を読んでいたら中東という自分の関心があまりない地域にも関わらず思いの外面白かったので感想を書いてみる。
この寄稿文はアメリカとイランの緊張状態はピークであり双方の誤算などから小さな衝突が瞬く間に全面戦争に発展する危険性を指摘している。
この寄稿文の筆者はイランの攻撃があればトランプ政権はイランに対して武力を行使するだろうと分析しているが同時に双方ともに戦争は望んでいないとしている。
アメリカの描く理想のシナリオは小規模なアメリカの攻撃によってイランの立場が後退化し戦闘が終わるとされている
しかしいくつかの疑問点がある
まずは何をもってイランの攻撃とするのかという点だ
イランは中東諸国の傀儡勢力(ヒズボラ等)を使用して駐イラク米大使館などにロケット攻撃を行うことが多い
前述のようにイランの正規軍又は指導者の親衛隊である革命防衛隊が直接攻撃を行うことはイランにとってリスクが高すぎるため控えたいはずだ
ヒズボラなどはイランの影響力を強く受けているとされるがイランは自らの攻撃でないと否定する余地はあるだろう
どこからをアメリカはイランの攻撃とみなすのか
規模なのか
攻撃主体なのか
やや疑問だ
そして寄稿文では自国の安全を高める措置が相手国が脅威とみなし緊張が高まる事態
いわゆる安全保障のジレンマに触れられている
アメリカとイランが誤算によって小規模かつ一回限りのアメリカの攻撃などを双方がより大規模な攻撃の予兆とみなすことによって紛争は中東全域に広がって行くとされる
そしてアメリカとイランの緊張状態が高まっている原因であるイランの核開発
寄稿文の筆者の分析では仮に核施設を爆撃したとしても18ヶ月から3年核開発を引き延ばすだけであり結果的にイランは核兵器を開発するだろうとしている。
核兵器開発を阻止することが不可能なのにも関わらずアメリカは軍事的攻撃をちらつかせている
仮に軍事行動が行われた場合、筆者が指摘しているように中東は著しく不安定化しイラクのようなテロリストの温床となり得ると思う
筆者も指摘するように小規模紛争であってもエスカレーションのリスクは秘められていると感じる
アメリカとイランの相互不信から判断を誤り、極めて短期間のうちに全面戦争へ発展する可能性は高い
アメリカは全面戦争に発展した場合の地域の不安定化のリスクと向き合うべきだ
また小規模紛争から全面戦争ひいてはイランの体制変革へと発展する可能性は充分予見できる
その場合リビアやイラクのように国内の不安定化は免れず米軍は長期に渡り駐留する必要性が出てくるだろう
この財政上のコストにも目を向ける必要があるだろう
前述のようにイランの核開発を阻止することは困難だとすればアメリカにとってイランとの全面戦争を行うメリットはほぼ無いと言える
このような点からアメリカとイランとの間で全面戦争が予期せずに勃発した場合極めて重大な帰結を招く恐れがあり何らかの緊張緩和或いはそれに繋がる合意を締結すべきだ(イラン核合意の再交渉を行い双方が合意できる可能性のある玉虫色の合意を結ぶことも対処療法としては良いのかもしれない)
それが不可能だとしても双方で誤算が生まれないように軍事当局者間でのホットラインを開設するなど最低でも双方の軍事当局者が相手の意図を読み違えないような対応を取るべきだ

ヒズボラとは

安全保障のジレンマとは

イラン核合意


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