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「君たちはどう生きるか」物語としての感想、疑問点の妄想。面白かったと言えるために。

死んだ母親の死を過去として受け入れ再婚相手の母親を認め未来に歩く物語だと私は思う。
この文章だけだと呆気ないが、物語は複雑でとても大きく広がっている。
鑑賞後は面白かったが、心の底から面白かったと言えるほどではなかった。
疑問点が多かったからだ。
他の方の感想を読み、自分の中で疑問点を落とし込んだらやっと面白かったと心から言えるようになった。
この文を読んでいるあなたがこの物語を面白かったと言えるお手伝いになればと思う。


前半部分 眞人という人物

前半部分では会話は少なく主人公眞人は「はい」か頷くだけの無表情に近い静かな少年だ。
だが、表情、行動で眞人は心に激情を溜め込んでいる少年とわかっていく。再婚相手なつこのお腹に子供がいることを知って複雑な感情が表に出て全然受け入れられない事を知る。
お屋敷に着いてなつこが下駄の土を払うのに対して眞人はそのまま靴を持っていった。父親の前では良い子を演じていたように見える眞人なのでこの場面が父親だったら土を払っていただろう。
父親に対してはイエスマンの眞人だが、学校では車で連れて行かれるのに対して心の中で反感を買うだろうなと思いながら行ったと思う。
わかっていながらも拒否はなく車で登校する眞人。
放課後喧嘩をし、学校に行くのが嫌な為自らを石で傷つけた。
やけになっていたように感じた。
そして父親の性格を理解しており、怪我は転んだと嘘をつき父親は同級生に殴られたと思い込み登校しなくて良い状況に持っていった。

眞人は頭が良く父親のことをとても良く理解しているなと思った。
眞人は父親のことをどう思っているだろうか。
私は父親を嫌いではないと思ったが他の人の感想を見ると嫌っているというのが多かった。
母親に対しての感情よりはかなり劣るがそれなりに好きで尊敬してそうだなと思った。
そんな眞人だがアオサギにより感情が露わになっていく

アオサギは何だ

アオサギの言葉や行動により眞人は子供ぽくなったように思える。
そんなアオサギだが、彼は何者だろうか。
あの物語の中でアオサギだけが他の鳥とは明らかに違っていた。
眞人を塔に連れていくため死んだ母親そっくりの体を作り、それを眞人に触らせて壊させる。
トラウマレベルのことを眞人にさせているが、アオサギは悪いことと知っていても何というか純粋さがあるように見え、何でだと私は思った。
物語が進むにつれアオサギは見た目はおじさんだが子供ように見えてきた。
眞人がペリカンを埋める場面ではそれするの?と純粋な疑問を抱いていたように見えた。死体を埋葬するのは人間しかしないからと。
初めはその純粋さは中身が鳥だからかと納得していたが、
何故アオサギだけ返信能力がある?アオサギはあの地獄出身だったかな?あそこに行くのは初めてと言っていたが、場所だったか?あの世界が?
アオサギはあの塔に迷い込んだ人間で大叔父さんの命令を聞く代わりに魔法を使える体をもらった?
それとも大叔父さんの血筋だから魔法が使えた?
やっぱり中身はおじさんなのか?
アオサギは私にはわからなかった。

キリコさんの出身は?

彼女は元々どちらの人だったのだろうと。
あの墓の門の主が何か気になるが、それよりもキリコさんだ。
本人はこの世界から出たことはない、といっていた。
そう言う通り何年も生活しているのが家の様子から見てとれた。
キリコさんはわらわら達のために殺生をしていると言っていた。
正しくは殺生が自分の仕事と言っていたが。
転生する魂わらわら達をお世話するために連れてこられた人?
子供の頃に連れて来られたは納得できない、その前にペリカンに食べられて死んでいるだろう。
記憶を消されてこの世界に連れてこられた?
あの世界では大叔父さんの血筋外でいる人間はキリコさんしか見れなかった。
他の人が出てきたらもう少し理解できたのだろうか。
物語の最後では若かりし頃の母親ヒミと同じ扉を選ぶ。
眞人からキリコさんに会ったことがある、という話を聞いて自分はそっちではないと思いそうだ。
書いていて思いついたのだが、キリコさんは記憶を消された状態で世界にやってきた。世界が崩壊するが自分の時代もわからないため姫様と呼んでいたヒミと同じ扉に入った。
キリコさん実はもっと昔の人だったら?
ヒミの帰った時代よりも例えば50年前に連れて来られてたとして、世界の記憶が消えて現世の記憶を頼りに自分の居場所に戻っても自分の両親は死んでいるだろうし、婚約者がいたとしても死んでいるかもしれない。完全に一人だ。
現世が地獄になったな。

別パターンでキリコさんは大叔父さんの家系に嫁いだ方で塔に迷い込み神隠しにあった。ヒミと共に帰ってきたが、現世は自分が生きていた時代から50年の月日が経っており、自分はもう死んだものとして扱われていた。自分の旦那は他の女と結婚をしてその血を継いでいるのがヒミ。心中複雑すぎる。
どっちにしろ地獄か。

あの世界に生身の人間で行けるのは大叔父さんの血筋のものしか行けないのか?
キリコさんは血筋の人だった可能性がある?
どちらにせよ現世に戻って幸せにあの屋敷でお手伝いさんをしていてほしい。

あの世界にいる鳥達 ペリカン、インコ

死にかけのペリカンからこの世界のことを聞く眞人。
ここで生まれこの世界から出ることが出来なかった。
わらわらを食べていたのは食糧問題だけでなく、わらわらを食べることで地獄から脱出できると思ったのだろうか。
ここは地獄だと言い残し死んだペリカン。

一方インコはペリカンよりも多く繁殖しており、ペリカンと違い人らしい進化をしていた。
包丁持ったり、こっちは完全に人を食べていた形跡があった。
殺生いいんだと思ったが、キリコさんと同じく魂は現世のものだからか。
王様インコと共に大叔父さんの元にヒミを運ぶインコは
ここは天国かと言った。

ペリカンは現世に戻りたい
インコはこの世界をより住みやすくしたい
なんとも正反対な鳥達だ。

インコ達が食べた人は誰?(地獄妄想)

インコ達は明らかに人間を食べるのに慣れていた。
ヒミと眞人の二人の食事シーンで確か母親は死んだと眞人が答え私もそうなのとヒミが言ったな。

ピンクのインコが母体は食べられないと言った、じゃあ産んだ後の母親と赤ん坊は?

なつこのいた場所、(うば?名前忘れた)は入ること(ヒミは入ってはないが)は禁忌と王様インコが言っていた。
ヒミが入ることもだがインコ達も入れないようになっていたな。そっちは禁忌になるのか知らないが。

ヒミ達の家系はそこで産むことが習わしなのだろうか。
あの場所で子供を産む。
母親は用済みになり子供だけ現世に返される?
ヒミが産んだのは東京?
習わしで産んでないとしたら?
呪いのように罰があったとしたら?
ヒミが火事で死んだのはもしかして、、
と最悪な考えが頭を過ったので共有したかった。

あの屋敷にお手伝いさんばかりで主がなつこしか居ないの気になるんだよな。
インコは明らかに動物食べているし、手慣れてるように見える。転がってた骨とかは大きくたぶん大型動物も食べたんだろうな。

インコはペリカンよりたくさん人間を食べたから人間みたいに独自の進化をしていったのか?

あの世界の構造(妄想)

物語終盤あっさりあの世界崩壊したけどいいのか?
鳥が逃げたのはみたがわらわらなどはいなかった。

人が介入したことで独自に世界が作られただけで崩壊してもわらわら達や死者の魂は別次元、本当の死者の国?に行ったのでは?
崩壊しても地球全体には影響はない、であって欲しい。
隕石という、塔が降ってきたことにより別次元の扉を開くことができ大叔父さんはそこで世界を作った、その世界を守るために後継者を求めた。

現世
大叔父さんが作った世界
死者の国

という順番で死者の国の者が大叔父さんの世界を気に入って住んでいたけど世界がなくったので元の場所に帰った。

大叔父さんが作った世界がポータルの役割になり現世の魂と死者の魂の共存があった。
わらわら達はそこから行くのが現世に近いのでそこから転生していた?

しかしペリカンという邪魔するものがいた。
例えば、
死者の国からの転生は邪魔者がおらず真っ直ぐ行けるが時間がかかる、しかし全部転生できる。
大叔父さんの世界からの転生は時間短縮になるが邪魔が入り全部は転生できない。
そう考えたら転生する魂が100個あるとして現世に転生するのはどちらの世界もだいたい同じ時間で100個転生するよう均衡をとっていたら?
どちらから転生しても地球の生は変わらない。
だからあの世界が崩壊しても地球全体、もしくは日本の生命誕生は影響ないであってほしい。

ヒミと眞人となつこ

眞人は塔に行くまでは母親が生きているという嘘をはっきりさせるのとなつこを返してもらうという気持ち、アオサギへの敵対心から。

あの世界からは、なつこを取り戻すという強い意志はあったが母親ではなく父親の大事な人をと自分に言い聞かせていたような気がする。
なつこお見舞い時に動揺があり眞人の心に一滴の滴が落ちたように思える。

やっとなつこの場所までたどり着いた眞人。
なつこは眞人に泣きながら嫌いと言っていたが 、情緒不安定な所に来てほしくなかった眞人を見て早く逃がしたいがため言ってしまったように思えた。
なつこは眞人を嫌っているようには私には見えなかった。
なつこはヒミを慕っているようだった。そんなヒミに似ている眞人を嫌うだろうか?
なつこを見舞いに行く場面で本当に眞人を我が子のように愛しているように見えた。
それに気がついて眞人はあの場面で動揺したのではないだろうか。
嫌いと言われた眞人。そんななつこの心情も察していたように見えなつこ母さんと呼んだ。
眞人はなつこを母親と認めることができた。

会話の中でヒミが自分の母親だと気がつく眞人。
ヒミはいつから眞人が自分の子供だと知ったんだろうか。
大叔父さんと一緒に会いに再会して抱き締めていた所は知っていたような気がする。我が子の無事を喜んでいるように見えた。
それぞれの扉の入る前の別れ際、ヒミがその事を知っていることに眞人も驚いてなかったな。なんだこの親子。
眞人は本当に性格もヒミそっくりなんだろうな。

眞人から火事で死ぬと言われてもあっさり受け入れるヒミ。
むしろ肯定していた。
その返事で眞人は母親の死を受け入れるきっかけになったのではないか。
ヒミが本心じゃなかったとしても、そう言ってくれたことに。

眞人は何度も生死を体感することで死とは何か、生きるとはなにかを深く考えていく。
そして今を選び自分の悪意を認めた。
あんなにも無表情だった眞人のことを我々はとても知ることができた。
私は前半部分ではもののけ姫のアシタカのような人物だと思った。
だがアシタカよりも人くさく、子供らしく前に進んでゆく姿の眞人は共感部分もあった。
ヒミとの別れの場面ではこちらも胸が辛くなった。
眞人がこれからを笑顔でいられる日々を願うくらいには好きになっていた。

最後に

この物語にはまだまだ触れてない謎がたくさんある。

墓の主を起こすとどうなるのか?
大叔父さんのこと
あの積み木は何なのか
などなど
映画をもう一度観たらまた謎が出てくるだろう。

この物語は主人公眞人が母親の死を受け入れ、前に進む物語だ。
過去を受け止め今を未来に向かって歩きだす。
よくある物語だ。
それをここまで大きく広げて楽しませてくれたことに監督に深い尊敬の念を抱きます。

さて、ここまで読んで頂いた皆様、
疑問点の解消に少しはお役にたてたでしょうか。
また謎という疑問点が出て来て混乱したでしょうか。
映画を面白かったと言えるようになったでしょうか。

この物語はなんとも妄想力を引き立てる話だと書いていて改めて思いました。
是非皆さんの妄想話を聞いてこの物語を更に理解したいものです。

長々と読んで頂き有り難うございました。
ジブリ最高。

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