突如、「そうだ京都、行こう」という気分が高まるときがある。実際の行き先は京都ではないのだが、今、私の京都を求めてどこかに行きたくなる衝動である。私は普段、出不精であるが、日常が濁ったり滞ったりしている時期は特に、日常を清めるかのごとく思い切った「そうだ」を実行する。こういう時、その勢いのままに飛び出して成功した体験があるので、ついまた「そうだ」と思い立ってしまう。 私が初めてそうだの旅をしたのは、栃木のとある温泉であった。温泉は、私にとっての京都的などこかである。突如、「そ
社会に出ると、誉め言葉としてよく掛けられる言葉がないだろうか。私の場合は、「しっかりしている」「落ち着いている」がその代表格で、職場で「姉さん」と呼ばれたこともある。概ね、社会での私の振舞いを想像してもらえるだろうか。 なんとなく、これらの言葉から思い描かれる人物像は、頼れるちゃんとした人感がある。そう、私は社会で割にちゃんとしていると思うのだ。書類は誤字なく、見やすいレイアウトでないと気持ちが悪い。スッキリしたデスクが好きだ。 以前、人から「職場であまりに「やってられん
ある日、友人2人と話していた時、何かの流れで台所事情の話になった。 「電子レンジ持ってないんだよね」と私。 「えーー!!電子レンジがないなんて、考えられない!!」 「ごはんも冷凍したりするし、どうしてるの?」 友人から、驚きの声が上がる。わからなくもない。私も以前は、当たり前に電子レンジがある生活を送っていた。何でも温められて、オーブンになったりもする電子レンジがないなんて。世捨て人や変わり者を疑われそうである。変わり者は当たっているかもしれないので、否定しきれないが。 と
「たわしで洗ってるみたい」 ネットショッピングサイトの商品紹介に、こう書かれていた。興味をそそる。ごっそり洗えそうな印象を受けた。とはいえ、たわしで洗ったら痛いんじゃないのか? という考えも頭をもたげる。 振り返ると昔から、私はなぜか歯を大事にしたがった。インドかどこかのハーブっぽい自然派お高めの歯磨き粉を買ってみたり、予防歯科に通ってみたりした。中でも、磨きやすい歯ブラシ探しはゆるく長く続いた。気になった歯ブラシがあったら試している。 歯を大事に従っていると言ってすぐ
私は、インドアなズボラである。そして、ズボラでありながら、可愛いやオシャレに心躍る生き物だ。 家でゴロゴロするのが好きで、一日中家にこもっているのは通常運転。旅行に行くときも、自然に囲まれた場所で、ピンとくる居心地のよさそうな宿で、何もしない時間を過ごせたら最高である。 そう。ピンとくる居心地の良い空間、というのは、私のインドア生活にとって大切な要素であるらしい。 ズボラでありながら、可愛い部屋で癒される時間を過ごしたいのだ。 私の部屋づくりの道のりは、かれこれ15年ほど
我が家は狭い。 かつての私は、セ―ルと聞けば浮かれて銭を失い、「この布でブックカバーを作ったらかわいいかも…♡」「この型でクッキーを焼いたら絶対かわいい!」と、普段はしない手芸や菓子作りをする想像上の私のために銭を失い、我が家の面積をも失った。 モノと言うのは、買う時は非常に簡単だが、捨てるにはその8倍くらいの労力を使う。ブックカバーになり損ねたありのままの布や、年に2度ほどしかクッキーを焼かないことを忘れて浮かれた私の姿を思い出させる型抜き。 浮かれた自分を思い出し、支
何をやっても上手くいかないなー、という時がある。 日常生活を送りながらも、気持ちが晴れない。そういう状況から抜け出したいと、ジタバタしてみる。友達との飲みに行く、好きなモノを買う、お気に入りのカフェで過ごす。日常でできる小さな気分転換を試みながら、それでも心にかかったモヤが取れない、という経験は、誰にでもありそうだ。 すぐに検索できる小型の機械が手元にあるのだから、その解決策を検索窓に尋ねたくなる。とはいえ、実際に検索したところで、表示される検索結果に自分が求めている答え
とっさの判断は、難しい。 人とのコミュニケーションで、「あの話をする前にこの話をした方が早いだろう」と思考になるより前の段階で瞬時に判断して、実際にその通りに口が動く。結果として、話がスムーズに伝わる。これは機転が利いたと言ってよさそうだ。 居酒屋でアルバイトをしていたことがある。お客さんの仕草から灰皿をもう一つ欲しがっているように感じて、呼ばれる前にササっと持っていく。喜んでくれる。役に立ったようだ。 何かを感じ取り、思考になるより前にとっさの判断にゆだねて身体が動く
小説が好きだ。日本語も好きなので、細かなニュアンスを感じられたり、流れるように表現されたりしている文章に惹かれる傾向がある。中でも、心理描写が秀逸で、続きが気になって読み進めたくなるミステリーが大好物だ。 さて、数年前、そんな私の好みにドンドンぴしゃりとハマる作家さんを知る。辻村深月さんである。古本屋で購入する本を見繕っていた時に、手に取り購入した本の中に『ツナグ』があった。当時はすでに映画化もされていたが、私のツナグとの出会いはこのタイミングであった。私は小説が好きだが、
さて、唐突に告白をするが、私はズボラである。 ズボラでありながら、“丁寧な暮らし”が雑誌の表紙に踊った頃には「素敵♡」と感化される感性と、ときめく心でスパークジョイ♪と片付けに没頭する突発的なエネルギーはある。 自然素材の雑貨や日用品を揃えたシンプルな部屋で、毎朝掃除やヨガをする生活に憧れて生活に取り入れるのだけれど、いかんせん続かない。捨て活してスッキリして、ストレスたまって買い込んで、を繰り返す。理想を描きながら、一直線にはゴールできない。人の気持ちは複雑である。とにも
真夏、温泉に入った。 太陽にジリジリ焼かれながら、露天風呂。 ふらりと蝉の子が柱に止まる。 みーんみんみんみん!みーんみんみん!! スピーカーでも持ってるんだろうかと思うくらい 小さい身体からめちゃくちゃ大きな声で鳴くから、注目の的。 素っ裸の大人たちの視線を一身に受ける、ミンミンゼミ。 めいっぱい鳴いて、かと思えば急に気まぐれに去っていく。 自由だわー、と、去っていく蝉の子を目で追う。 蝉の子はあっという間にどこかへ飛んで行って、 目線の先には、遠くの山に溢れ出す緑
金柑の木のかわいさを短歌で。
夕日の美しさを短歌で。
一人旅を満喫しながら、ふいに好きな人に会いたくなった子の短歌。
落ち込んで帰った日の短歌。 何気ないやり取りに、励まされたり嬉しくなったり。